新時代を迎える「Whole Foods Market」・・・

米国の食品市場に占めるシェアだが、Walmartが19%、Krogerは9%、以下Costco Wholesaleの6.3%、Albertsons 5.2%、Publix 4.6%、Amazon 1.5%となる。2021年7月から2022年7月(調査会社ニューメレーター発表)の調査数字だが、我々にとって存在感の高い企業のWhole Foods Marketは1.2%、Trader Joe’sが1.1%のシェアしかない。

▼オーガニック商品が、未だ店舗の一部のコーナーでの展開が始まりだした80年代に、店舗まるごとオーガニック食品(無農薬&無添加)のWhole Foods Marketを米国研修で訪問した時の衝撃は大きいものがあった。多分、同じような経験した方は多いはずだ。オーガニック食品を世に広め90年代には数々の買収を通じて急成長に導いたジョン・マッキー氏が明日、9月1日に引退する。ホールフーズの前身であるセーファーウェイから44年間も共同創業者として、またリーダーとして率いたジョン・マッキー氏だ。彼の共著である『世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー』 (Harvard Business School Press)は何度も読み返した時期もある。

▼2017年にAmazonに137億ドル(約1兆5000億円)で買収されたが、マッキー氏がCEOを続けていた。Whole Foods Marketは明日、9月1日から新時代を迎える。

マッキー氏の後継者として現COOのJason Buechel(ジェイソン・ブッケル)氏がCEOに就任する。ブッケル氏はウィスコンシン大学ミルウォーキー校を1999年に卒業後、コンサルティング企業のアクセンチュアで約12年キャリアを培っていた。2013年にホールフーズに入社。チーフ・テクノロジー・オフィサーにエグゼクティブ・バイス・プレジデントを歴任した後、19年にはCOOに就任している。44歳のブッケル氏は1978年生まれとなるので、マッキー氏がセーファーウェイを創業した年と重なる。

▼Amazon傘下となって5年、これまでにない変化があったように感じる。「らしさ」が失われてきた。中央集権化により各店舗がもつ独自性が薄れていったのだ。手書きPOPやスタッフを紹介したポスターなども廃止された。従業員の賃金や福利厚生も見直され、役員からキャリアの長い現場社員の多くが辞めていった。フォーチュン誌の「働きがいのある企業100社」に17年連続して入っていたが買収以降は、ランキングに載ることはなくなった。

海外店を含め465店舗だった買収時の店舗数は、533店舗に増えているのだが、業績は公表されなくなり正確には分かりかねるが、成長しているとは言い難いように思える。

今後、起こるだろう堅調な変化はITになる。多くの店舗で宅配サービスが行われており、全店でカーブサイド・ピックアップができるようになっている。直近では店舗DXが行われ、「Just Walk Out」を導入した店舗、非接触の生体認証「Amazon One」での決済など注目だ。

新CEOの采配によるIT導入でどのように変容するのかが注視されている。

(2022・08・31)