流通小売業のDX投資は・・・

米国流通業視察が再開され、参加した友人の話を聞く機会があった。最初に口にしたのは、「米国はたかッ!」であった。観光客を含め、久しぶりの米国旅行者は、米国の記録的なインフレに加えて円安ドル高により物価高にショックを受けるらしい。視察の現地コーディネーターから、インフレはともかくドル高の間接的な要因にあげているのがイノベーション投資で、IT投資を積極的にしてこなかった日本はデフレ、円安になっていると皮肉られたと言っていた。

▼今回参加した流通業視察は、これまでと内容も変わり流通DX(Digital Transformation)体験の場面が多く、年配の経営陣には理解出来ない場面が多かったらしい。セルフレジの周りに参加者を集めてデモンストレーションがあったり、ストアアプリをダウンロードして、小さな画面をシェアして視察したりが中心なので参加者は少人数でしかできない内容であったとのこと。必然的に以前とは異なり費用も高くなっているらしい。DX視察(体験)がでできなければ、これまでと同じ売場や商品の説明が中心になってしまうからだ。

▼Amazonの自社開発のスーパーマーケット(SM)「Amazon Fresh」だが、44店舗目の開店予定の広報があった。自動決済システム「Just Walk Out」にフルサービスレジを併せ持つハイブリッド型での出店である。イノベーションによるSMへの投資を衰えさせていない。Amazon本体でのイノベーション投資は積極的で、最近ではロボット掃除機「Roomba」で知られるiRobotを買収した。また、物流システムのCloostermans(ベルギー)を買収するとの発表もあった。これらの企業の技術を活用して、倉庫内の搬送や梱包作業を自動化するのであろう。

▼ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ドル高と米国企業のイノベーション投資が相関しているという記事「Why Is the Dollar So Strong? American Innovation」11日に掲載している。イノベーション投資により米企業の収益性が改善し、外国資本を引き付けて結果としてドルを押し上げたという論説だ。(アメリカン流通コンサルタント後藤文俊氏の記事より)

AmazonやWalmartだけでなく、TargetやKroger、Home Depot など大手チェーンストアのDX投資の合計は数兆円から十数兆円という規模になっていても不思議ではない。

日米の驚愕の価格差の原因がイノベーション投資だったとすれば、これを甘んじて受け入れる他ないのだ。

「ハンコ、フロッピー、FAX」を止めるとニュースになる国で、小売業界のDX戦略はどう展開するべきなのだろうか。心配でもある。

(2022・09・14)