物価指数の「遅れ」が対策の遅れ・・・

「コロナは時間を早める」が合い言葉のようになってしまっている。早くも20日を過ぎて各種統計データの発表が始まり出した。総務省も8月の消費者物価指数を発表した。8月は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.5となり、前年同月比2.8%の上昇で、消費増税の影響を除くと30年11カ月ぶりの上昇率だった。そして5カ月連続で2%台の上昇となった。生鮮食品を含む総合指数は3.0%の上昇率で91年11月以来、30年9カ月ぶりの水準となった。

▼食料は前年同月比4.7%上昇し、7月の4.4%を上回っっている。生鮮食品は8.1%(7月は8.3%)、生鮮食品を除いた食料は4.1%(同3.7%)の上昇であり、いずれも高い上昇率が続いている。品目でみると食パン15.0%、チョコレート9.3%の上昇である。メーカーの値上げが相次ぐ食用油は39.3%の伸びだ。ウクライナ危機で輸送ルートの変更を余儀なくされているさけは28.0%、輸入品の牛肉は10.7%、梨は10.4%と購入頻度の高い商品で上昇が続く。原材料高などの影響は外食にも波及し、ハンバーガー(11.2%)などの品目も値が上がっている。

▼日本では90年代からデフレ状態が続いてきた事もあり心配だ。インフレが進むと、金融資産価値が目減りして、生活を脅かすわけだから困る。穏やかな上昇は経済成長も促すが、激化すると簡単には収まらない。緊縮策によるデフレ・不況、失業の増加など高いコストを払うことになるのではないかとの不安が拭えない。

60~70年代の日本では、「狂乱物価」と呼ばれた。、世界的にインフレが進行し、食料危機や石油危機も加わり、74年の消費者物価は前年比で20%を超えていた。買いだめ騒ぎが起き、売場での対応は新入社員であった私どもの世代であった。この時、石油危機が原因と思いがちだったが、真犯人は貨幣の供給過剰だった。「ニクソン・ショック」(71年)が招いた円高不況を避けるため金融緩和が続いた。それが「過剰流動性インフレ」を引き起こしたのだ。それに「列島改造ブーム」が拍車をかけたことにある。

▼「日経POS情報を基に2021年から22年にかけて値上げされた21品目を調べたところ、その前の値上げ局面に比べて4割ほど多い14品目で駆け込み消費がみられた」(日経新聞:2022年9月17日)とある。節約しにくい食料費とエネルギーの支出は痛みを感じやすいはずだ。物価対策は後手に回りがちだ。原因のひとつは、物価指数の「遅れ」にあるのではないかと、最近読んだ『物価とは何か』で渡辺努・東大教授が指摘していた。消費行動を適切につかんでいない可能性が高いという。政府の対応もそんな感じがしないでもない。

(2022・09・21)