従来のトレンドに戻りつつあるようだ・・・

小売業の決算期は2月、3月が多い。2月決算企業の第2四半期を終えた結果が発表されている。2日の日経新聞一面には、セブン&アイ・ホールディングスの22年3~8月期の連結営業利益が2300億円強(前年同期比3割弱増)になったと伝えられていた。同期としては3年ぶりの過去最高を更新するとある。小売業の業績も、従来のトレンドに戻りつつあるようだ。ただ、物価高で消費者の節約志向の高まりもあり、先行きには不透明感も残っている。

▼セブン&アイ・ホールディングスの営業収益は、5兆320億円を超えたとみられる。収益をけん引したのはコンビニ事業になる。21年に買収した米国コンビニの「スピードウェイ」は、ガソリンの販売が好調の上に、独自商品を展開し、物流網の統合でコストも削減して相乗効果を出している。外国為替相場の円安も追い風となったようだ。セブン-イレブン・ジャパンも増益に転じたようだ。3~8月累計の既存店売上高はコロナの感染拡大前の水準を上回った公算が大きい。PB商品を刷新し、店内イベントを積極開催したことが寄与した。

一方、イトーヨーカ堂などスーパー事業は減益だったとみられる。そごう・西武などの百貨店・専門店事業は黒字を確保したもようとある。

▼この2年半は、コロナ渦の影響で業態によっては特需にも似た影響があったが、従来のトレンドに戻りつつある。少子高齢化の中でのオーバーストア、他業態からの侵攻に加え新しいチャネルの誕生とそれへのシェア移行。川上の状況も激変している。勿論、お客さまの変化への対応も急がないといけない。商圏は狭くなり、潜在購買力も減っている中での生き残りを賭けた戦いが再開された。スーパーマーケットの生き残りの鍵は、商品面では、惣菜の強化、生鮮商品の付加価値を上げるための加工度の向上、そして開発商品を磨くことになると思う。既に各社が独自性を求めて取組みを始めている。

▼惣菜の強化に関する議論の中で、ヤオコーの新店でのそれが話題になった。お客さまの購買意欲をかき立てる商品づくり・売場づくりが進んだという。「ヤオコー八王子鑓水店」(東京都八王子市)で22年9月28日に開店した店舗である。JR線・京王相模原線の「橋本」駅から北約2kmの多摩ニュータウン再開発地区の一角に位置し、「ビバモール八王子多摩美大前」のテナントとしての出店になる。「ベーカリー部門」では、若いファミリー層が好みそうなスイーツを強化し、「店内仕込みのミルフィーユ」や、「フルーツデニッシュ」の新発売し、「スパイシーケバブバーガー」も導入している。「寿司屋のおつまみ」コーナーでは、「たこキムチ」、「かきおろし南蛮酢」など魚介類を使った、寿司屋で注文する酒の肴になる商品が10品目以上用意されていた。新規開店時の売場なので、どこまで継続出来るのか分からないが、買いたくなる商品にみえる。

いよいよ、リアル店舗の強さを追求して、わが社の戦略を明確にした店舗が生き残れるチャンスが大きくなってきた。

(2022・10・03)