米国テキサス州サンアントニオを本拠地としているスーパーマーケット(SM)にH-E-B Grocery Company(HEB)というチェーンがある。テキサス州とメキシコ北東部に340以上の店舗を構える非公開企業だ。2021年の売上高は302億1800万ドルとある。この企業が運営するセントラルマーケットを90年代後半になるが、新コンセプトを確立の参考にするために何度か訪問したことがある。当時、ヨーロッパスタイルのベーカリー、豊富なワイン、ビールのセレクション、オーガニックコーナーなど興味深く見学したものだ。税引き前利益の5%を慈善団体に寄付していた。
▼このHEBに関する話題を、アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊氏が、彼のブログで取り上げていた。次世代セルフチェックアウトレジ「ファスト・スキャン(Fast Scan)」を一般に公開したとある。サンアントニオ郊外にあるHEBの店舗でテストされている万引き防止策の重量計測器機のことだ。お客さまは、店舗入口にあるスキャナーを手にし、購入する商品のバーコードを一つ一つスキャンしショッピングカートに入れていく。決済前に重量計測器機となるFast Scanにショッピングカートを置き、表示されているQRコードをスキャナーでスキャンする。Fast Scanとスキャナーが同期することで、ショッピングカートの重量を割り出すのだ。そして、計算以上にショッピングカートが重い場合は「Weight Mismatch」を表示してスタッフに知らせ、スタッフがスキャンされていない商品を見つけてスキャンし直して、チェックアウトを行う流れとなる。
▼セルフ・スキャニングは買い物中も合計金額を確認でき、レジ待ち時間を短縮できるメリットがあり、人との接触を最小化することで新型コロナウイルスの感染拡大の防止にもなっていた技術革新のひとつであり、レジ係り等の人件費をカットもできるため多くのSMで導入されている。ただ、万引きの温床との理由から課題も浮き彫りとなっていた。
先日も記載したが、Wegmansは「Wegmans SCAN」の中止を発表、先月18日以降の利用ができなくなっている。停止理由を万引きとしているので相当な損失をだしていた可能性がある。Walmartも、サブスクリプションの特典となっている「Scan & Go」を過去に2度も中止した経緯がある。Krogerでも「Scan Bag Go」を停止したことがある。
▼しかし、Walmart傘下のSam`s clubでは「Scan & Go」を全店で行っており、Meijerも「Shop & Scan」を全店で行っているのだ。7-Elevenも昨年7月、「Mobile Checkout」を3,000店以上に拡大したことを発表している。Hyveeも買い物しながらスキャンしていく「Hyvee Scan & Go」を拡大中とある。
HEBの「Fast Scan」は、チェックアウト直前にスキャンをし忘れた商品を割り出す苦肉のDXで万引きに対応するのだが、セルフチャックアウトにより万引きが33%も増えるとの試算も米国ではあるようだ。万引き額と効果と境界となる値をどこに置いているのだろうか。
(2022・10・07)
