昨今のPB商品の位置づけは・・・

食品、日用品などで10月から価格が上がった。帝国データバンクによると、食品の上場メーカー105社で今年最多の6700品目を値上げしたとある。光熱費などの上昇を含め消費者行動に影響を与えるのは避けられない。特にスーパーマーケット(SM)にとって、食品だけで年約7万円家計負担が増えるとの試算もある。

▼日本経済新聞の9日朝刊では、「消費を冷え込ませない価格戦略を探れ」との社説を掲載していた。「10月から価格が上がった。エネルギーや原料価格の上昇などを受けた動きで、価格転嫁はやむを得ない。企業は消費が冷え込まないように、巧みな値付けや価値向上策を講じるべきだ」とある。値上げが本格化し節約志向が強まっている。少しでも価格の安い店にシフトしたり、ネットで低価格品を探したり、出費を抑制する動きが鮮明になっている。それと同時に割安なPB商品に切り替えるケースが増えている。そして、一品単価が上昇する中で、1回の買上金額(客単価)を調整するために買上点数を調整するお客さまの行動が顕著になって来た。小売業は付加価値をどうアップ出来るかの戦いが激しくなるはずだ。

▼それにしても、この社説は現場感が少しも無い。「消費が冷え込まないように付加価値アップと慎重な価格設定が求められる」とあるが、SMは、価格を上げることなどしたくはない。顧客や他社の動きを見ながら、買い控えが起きにくい値付けをする体制をつくった企業を評価しているが、普段の当たり前の行為のはずだ。「もちろん値上げとともに賃金上昇も不可欠だ。価値と賃金アップの両輪で個人消費が落ち込まない努力が一層必要になる」と結んでおり、小売業に対しての価格戦略提案でも何でも無い。また、「価格競争が起きやすい同質化競争を避けようと、独自商品の拡充を進める」と企業名をあげて賞賛しているが、もう何年もSM業界では、当たり前のように取組んでいるテーマだ。

▼翌10日には、日経MJに「(伊藤元重のエコノウオッチ)インフレ、PB拡大の好機」との記事があった。「消費者がインフレを意識するようになれば、相対的に低価格であるPB商品が拡大していくチャンスは広がる。デフレが小売業の産業構造を変えたように、インフレも産業構造を変えるきっかけになる。小売業にとってPBを拡大するチャンスが来ている」とし、「インフレの中で、大量生産・大量販売を仕掛けるPB商品と、差別化や商品開発力でブランド価値を高めたいメーカー品との競争が激しくなれば、消費者にはありがたいものではある」と結んでいる。

昨今のPB商品の位置づけ、やっぱり、違うような気がするのだが、如何だろうか。

(2022・10・13)