そごう・西武を米投資ファンドに売却 !

セブン&アイ・ホールディングスのそごう・西武労働組合は、西武池袋本店でストライキに踏み切るという異例の展開となり、大手百貨店で61年ぶりとなるストライキへと突入した。セブン&アイがそごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却するというニュースは9か月以上も前に流れていたのだが、セブン&アイとフォートレス、そごう・西武の経営陣と労組の思惑は、すれ違いを続けていたのであろう。

▼労働組合としては、雇用や賃金が守られるかを会社側に確認しようとした。本来、確認先はそごう・西武の経営陣のはずだが、セブン&アイからフォートレスとの交渉の詳細も知らされず当事者能力を失っていたのであろう。一般的には、子会社売却の場合には、売手と買手が事前に子会社の労組と雇用維持や事業継続について調整することが多いはずだ。このケース、「我々が労組の相手をするのは筋が違う」とセブン&アイは、根回しを怠っていたとの報道もある。

▼そごう・西部を9月1日付で売却することを、セブン&アイは臨時取締役会で決議した。根回し不足で売却交渉は長期化したが、売却に至った発端はそごう・西武の厳しい経営にある。30年前に約3000億円の売上高を誇り、三越日本橋本店とトップを競っていた西武池袋本店も、セブン&アイ傘下に入った頃は1700億円程度まで落ち込んでいる。22年度も1768億円とほぼ横ばい状態だ。全体としても、23年2月期に4期連続の最終赤字となり、有利子負債は約3000億円に上っている。

▼セブン&アイは、「日本は欧米に比べると所得差は小さい。十分な相乗効果がある」との考えから総合生活企業への転身を図り、そごう・西武を手に入れたのだが、結果的には成果が見えないM&Aだった。

今後は、フォートレスと連携するヨドバシカメラとで新しい百貨店の姿を創造して欲しいと願う。時代を先取りするファッションや斬新な広告宣伝を駆使し、それまでの百貨店モデルを否定する偉大な存在が、西武池袋本店であったのだから。

2023/09/02