輸入小麦の売り渡し価格が3年ぶりに下がる・・・

農林水産省は12日、政府が製粉会社などに売り渡す輸入小麦の価格を10月から23年4~9月に比べて平均11.1%安い、1トンあたり平均6万8240円とすると発表した。値が下がるのは3年ぶりのことだ。ロシアによるウクライナ侵攻以降急騰していた小麦の国際価格が、最高値の半値程度に落ち着いたことを反映したものである。ただ、加工食品への影響はあるものの、どれだけ店頭価格に反映できるかは不明とのことになる。

▼「消費者・製造者の皆様にとって明るいニュースだ。国際価格等の動向を注視したい」と農林水産大臣は記者会見の席で述べが、小麦関連製品の小売価格に占める原料代金の比率は、家庭用薄力粉で28%、食パンでは9%程度とのことである。農水省の試算では、価格改定による小売価格の下げ幅は、家庭用薄力粉で1キロあたり13円、食パンで1斤あたり2円程度にとどまるという。

▼日本国内で食用に使う小麦の約8割は米国やカナダなどから輸入している。国が製粉会社へ売り渡す小麦の価格は、国際相場や海上運賃、為替などの6カ月間の変動分を反映し、4月と10月に見直している。今回の値下げは20年10月以来となる。為替なども影響するので、ドルベースの国際価格とはズレが生じる場合もあるが、小麦関連製品の値上げラッシュが落ち着く可能性はある。

▼米農務省は、23~24年度の世界の小麦の生産量は約7億9千万トンと過去最高水準との見通しを立てている。ロシアのウクライナ侵攻直後に高まった供給寸断の懸念が後退したことも相場下落に繋がっている。ただ、今後も相場下落が続くかは懸念が残る。小麦市場でのロシア産依存の高まりがある。ロシアの世界の輸出に占める比率は、侵攻前の16%から23%まで拡大している。ウクライナ産の供給懸念が再び高まる中で、ロシアの価格支配力が強まるとすればリスクは消えそうにない。

2023/09/18