新生イトーヨーカ堂について記したが、成功するためのポイントは、ヨークベニマルにあると思う。ヨークベニマルの業績は好調だ。23年2月期決算は、売上高4589億円（前年同期比2.2％減）である。コロナ禍で伸びていた内食・中食の需要が落ちたうえに、商品値上げが影響して目標を下回った。ただ、これまでの売上計上項目に合わせると4773億円（同1.7％増）のとなり、会社側は、実質的に13期連続の増収と認識している。
▼営業利益は180億円（同22.5％増）。当期純利益は、昨年3月に（株）ライフフーズと合併した効果が出て、前年同期比5倍の452億円だった。日刊ゲンダイ誌の「企業深層研究」欄に、ヨークベニマル会長の大高善興氏に関する記事が載っていた。戦後の1947年に父母が創業した紅丸商店（現・ヨークベニマル）の経営を00年に引き継いだ。現在、福島県を中心に北関東エリア5県に246店（23年2月末時点）を展開するSMだ。
▼05年9月、イトーヨーカド－グループは、持ち株会社体制に移行し、セブン＆アイ・ホールディングスの傘下にセブン-イレブンやイトーヨーカ堂が入る形で再編。翌年6月には百貨店そごう・西武が、9月には提携関係にあったヨークベニマルが子会社になった。セブン＆アイのPB商品「セブンプレミアム」は大高善興氏が生みの親である。49品目でスタートした「セブンプレミアム」、現在は4000品目以上、1兆4000億円の売上を見込んでいる。
▼新生イトーヨーカ堂の狙いのひとつであろう、グループ初の試みであるセントラルキッチン「Peace Deli流山キッチン」から、加工された生鮮食品やミールキットが首都圏200店に供給されるようになった。このセントラルキッチンにはヨークベニマルのノウハウが生かされる。味付けや、どこまで加工して、どこから店舗の店内調理に任せるかなどでヨークベニマルの経験には一日の長がある。惣菜部門の強化は首都圏の競争図を変えそうだ。
2023/09/20
