「ドイツと日本は、国民をどう捉えているかが違う。ドイツは国民をどちらかと言えば労働者だと捉え、労働者の権利に重きを置いてきた。日本は消費者だと捉えて、消費者の権利を重視している」というフレーズがどの書籍であったか失念してしまったがあった。気になってノートに記しておいたのだが出所が分からない。日独産業協会の特別顧問の隅田氏の著書だったかも知れないが出所に関してはお許しを頂きたい。
▼たしかに、わが国では、政策にしても消費者としてのものが多いし、値上げにしても品質にしても、消費者としての立場からの意見を主張する傾向が強い。物価が高くなれば給料が上がり、労働者の可処分所得が多くなると思うより、物価が下がることを重視してきた。企業経営者もバブル崩壊後の30年間、価値にあった価格を消費者に提示し、そこで増えた利益を労働者に還元することを怠り、ただひたすら貯め込んできたようだ。
▼「企業に貯め込んだ資金があったから、コロナ渦にも持ち堪えることが出来た」という意見もある。ただ、戦後60年間のような安定した時代はもうやってくることは無いようだ。想定外の出来事は今後も発生するだろう。嵐が過ぎるのを耐えて待つという従来の発想はもう通用しそうにない。想定外の変事が発生しても、機敏に素早く反応出来る組織を築くことになる。同じ目的を共有する士気高い従業員とデジタルツールを備えることが必要になる。
▼人手不足の現状が、毎日のように各種メディアを通じて報道されている。これまでの消費者よりの考え方も、最近は少しずつではあるが変化して来ているようにも思える。働く人に負担をかけてはいけない。また、価値には見合ったお金を払う、サービスは無料ではないとの理解を示すようになって来ている。安くすることで差別化を図るより、経営努力から生まれた革新を価格に反映することで労働者の権利を後押しする文化も育って欲しいと願う。
2023/09/28
