後継者育成の大切さ・・・

「スタジオジブリ」が日本テレビ子会社になるというニュースが今月の21日発表された。スタジオジブリといえば宮﨑駿監督のアニメーション映画など、映画上映を前提とした長編アニメの制作を専門とする制作会社だ。昭和60年に設立され、「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など数多くの長編アニメを制作してきた。これまでの「長編アニメ」重視の制作スタイルは、見直しを迫られるのであろうか。

▼スタジオジブリは30年ほど前から新たな後継者を模索し続けて来たようだが、結果的には上手くいかず後継者不足が理由のようだ。今年7月には、宮﨑駿監督の「君たちはどう生きるか」を7年の歳月をかけて完成させ、全国の映画館で上映した。多くのアニメ制作会社がTVのアニメシリーズやゲーム映像、CMのアニメーションなどを制作する中、長編アニメを専門的に制作する会社は世界的にみても極めてまれな会社である。

▼「アニメ制作市場動向調査」(帝国データバンク)によると、22年アニメ制作業界の市場規模は2703億9200万円(前年比6.4%増)で3年ぶりに市場が回復したとある。2年連続の減少から一転した。一方、日本動画協会の集計によると、令和3年のアニメ配信市場の売上げは1500億円を突破、過去最高を記録しており、視聴機会がネット配信へ軸足が移行、新たなビジネスチャンスが広がっている。

▼「特異性」を持つ「スタジオジブリ」だが、宮﨑駿氏、鈴木敏夫(現社長)氏が不在になったときの状況を考えると、今までとは違うビジネス形態が付加される可能性は高いと思う。日経新聞朝刊『春秋』(9月23日)でも「耳をすませば」の新人監督、作品公開時45歳の近藤喜文監督のエピソードに触れ、後継者候補筆頭であったと記していた。残念なことに病で亡くなってしまう。47歳の若さだった。新スタジオジブリの発展を祈らずにはいられない。

2023/09/29