理解不足と働き控えが発生・・・

日本の人手不足が深刻さを増してきている。様々な業界から悲鳴にも似た声が上がっているようだ。大都市の路線バスですら運転手不足により、減便や路線廃止に追い込まれている。官民挙げて運転手確保の取り組みが進んでいるとのニュースが流れた。有効求人倍率も最新の有効求人倍率をみると1.29倍。地域別・都道府県別で見ると、有効求人倍率が高いのは福井県で全国最高で1.91倍、最低は北海道と大阪府の1.11倍とある。

▼食品スーパーの人手不足問題は、「年収の壁」と「外国人材の活躍推進」の課題がありそうだ。昨日は最低賃金上昇の話題を取り上げたが、賃金アップをすると、就労調整する人が出てくるのだ。この「年収の壁」は以前から問題だと言われている。ただ、「103万円の問題は解決している。106万円、あるいは130万円が問題だ」と言う人が多いが、現場で年収調整をしている人は100 万円以下あるいは103万円以下での調整が多いのだ。

▼2018年の税制改正で、年収150万円までであれば、配偶者特別控除が満額受け取れるようになっている。これを根拠に「103万円の問題は解決している」と財務省は言うのだが、実際に現場では、約半数のパートタイマーが「年収調整」している。うち約8割の人が100万円または103万円以下に抑えているのだ。理由は、「住民税や所得税、配偶者控除などの税金対策」、「社会保険の扶養から外れたくない」がそれぞれ4割程度になる。

▼配偶者特別控除に関する税制改正に関して正しく理解している人は少ない。理由は、企業側がきちんと説明できていないからなのだが、パートタイマーは短期間で入れ替わったり、辞めたりしてしまうことから難しい面もある。国からも分かり易い資料を準備して説明の機会を増やして欲しい。ただ、「税金」と「社会保険」だけで年収額で6つのラインがあり、企業の「家族手当」を含めての理解は難しい。「年収の壁」問題も期限付きの対処でなく、できるだけシンプルな制度に変えて貰えるよう願いたい。

2023/10/11