Walmartは、商勢圏制覇戦略を採った・・・

日本のチェーンストアは、米国をモデルにして商業の工業化を推進することから始まった。それは、従来の日本の商業と異なる「流通業」を目指したものであった。しかも商業における「業種」ではなく、「業態」という品揃えテーマを決め、標準店舗を急速に多数出店することでの実現を理想としたものだ。しかし、現実的には日本で推進されたのは、これとは異なる方法のものであった。

▼専門化された分野から始まったチェーンストアづくりは、「専門性」より「総合性」を重んじたビッグストアづくりに移行した。結果的には、流通業のみならず、外食業からサービス業、ショッピングセンター建設にいたる多分野へ進出していったのだ。これには、米国のモデルチェーンを単純にコピーすることには無理があったからだ。地価•家賃•建築コストの差、宅地形成の違いや来店手段の違い、国土(1/25)と人口(1/3)の差、特に地価と家賃の高い日本では、店舗売上の拡大でこれらの差を埋める方法しか無かったのだ。

▼米国の小売業を目標にしたのは、「大規模流通業企業」が、何社も成立していたからで、本質的には「企業規模の急速拡大」を真の戦略テーマにしたからだなのだ。結果は、「多角化」と「チェーン化」による実現であった。従って、チェーン理論の「画一化された標準店舗の多店舗出店」なども手段の一つにすぎず、店長の数値責任も、チェーン理論では、店舗経費のコントロールにおかれているはずだが、ほとんどのチェーンが過去も現住も、店長に売上責任を課している。

▼既に記したようにWalmartは、商圏内•近隣集客ではなく、広域集客することで売れたいた「Hypermart USA」を止めた。逆に、ダイエーがハイパーマートを始めたのは広域集客を期待してのことになる。日米の諸事情の違いによる戦略の違いになるのだが、全国制覇を狙っての戦略も、「商勢圏を一つひとつ制覇する戦略」か「主要都市を拠点に出店していく戦略」かの違いになった。日本の小売業は、環境の違いがあるので米国よりも1店舗あたり「売れる店」でなければならいのだが、間題はその方法になる。「専門性」追及なのか、「総合性」追及なのか、これからの食品スーパーの方向付けのポイントとしても重要だ。

2023/10/23