セブン‐イレブン・ジャパンの商品企画に生成AIを導入するとの日経新聞の記事を紹介したが、賛否があるようだ。これまで商品企画には、消費者アンケートなどを資料として担当する社員がアイデアを練り、何回もの社内会議を経て商品化していた。これからは新たなシステム基盤で販売動向、SNSの消費者のコメントから割り出したトレンドやニーズに合った商品を素早く販売することになるのだろう。
▼先行導入したシステム関連部署の社内会議は、1案件(企画)あたり平均5回程度は必要だったものが1回まで減ったとある。これを例に商品企画面でも、これまで必要だった期間が最短で10分の1程度に縮まる見通しを立てている。浮いた時間を他の業務や品質改善の取り組みに充てる。まず管理職の約1000人がシステムの利用を始めた。来春にかけて商品やマーケティングなど、実務を担当する各部署の担当者に利用を拡大する予定だと報じている。
▼生成AIの活用で、2万店舗の運営効率化にも活用の幅を広げる。現状では、加盟店のオーナーから届けられる運営や商品などへの意見や改善を担当社員が項目別に分類し報告書を作成しているが、この時間も最大で10分の1に短縮するとある。飛躍的な時間短縮が期待できると思うのだが、すべてを置き換えることには限界もあるはずだ。例えば、商品企画は、人間が考えたことを議論し、協働して独自商品の企画を創造することを大事にすべきと思う。
▼マーケティング情報を集め、分析することにAIを活用すべきだろうし、企画書作成も任せるべきだろうが、仕事を遂行する中で、考える時間が少なくなったり、考える密度が薄くなったりしたら問題ではないだろうか。「ゆるブラック企業」という言葉があるそうだが、やりがいや成長をどこに求めるかも大切になりそうだ。この記事には、業務を丸投げするというニュアンスはないので、どこまで生成AIに任せるかの試験運用が始まると理解すべきであろう。
2023/11/07