Amazonは、米国での実験的な事業を次々と閉鎖している。儲けの出ないと事業と認識したのであろうか。昨年、「Amazon Books」、「4-Star store」、「Pop‐up Store」を全店閉鎖した。配達ロボット「Amazon Scout」からも撤退し、移動販売サービス「Treasure Truck」も終了している。今回の広報には、初のアパレル店の「Amazon Style」からも撤退するとある。破壊的な改革も選択と集中が始まったようだ。
▼1号店は昨年の5月、ロサンゼルス近郊のライフスタイルセンター「Americana at Brand」内に2階建て約3万平方フィート(840坪)で開店した。2号店は昨年10月、オハイオ州コロンバス北東部にあるモール「Easton Town Center」内に28,000平方フィート(780坪)の店舗面積での出店であった。破壊的イノベーション、アパレル業界で遅れているDXで試着室の顧客体験を改善したアパレル店舗だが、2年持たなかった。
▼最大の特徴は、展示商品のQRコードをアプリで読取り、サイズやカラーを指定して試着室に商品を届けさせることにある。試着室は40部屋近くあり順番待ちが生じることも少なく、試着も他店に比べ圧倒的に多くできた。試着が終わると不要な商品をそのまま残し、購入したい商品をレジに持っていくだけ。レジでは様々の方法での支払いが可能、掌認証システムの「Amazon One」での支払いもできた。試着室では鏡に映った様々なファッションを撮影し、後で画像を見ながらの購入検討も出来た。
▼一般的なアパレルショップとは異なる価値を提案するという破壊的イノベーションをもたらす事が出来たのだ。ただ、破壊的なイノベーションは業界構造を一変させる反面、新しい顧客創造には時間が必要な場合もある。Amazonであっても、儲けの出ない事業への継続的な投資は難しいのだろう。Amazon Goも今年9店閉鎖、しかし、明らかに赤字と思えるが「Amazon Fresh」は、出店凍結はするも店舗改装は行っており、閉鎖はまだない。どんな未来像を描いているのだろうか。
2023/11/08