次世代の顧客が求める店舗のあり方・・・

新しい消費や生活スタイルを提供し、顧客を創造することが商品や店舗の売上を飛躍的に伸ばす要因になる。コーネル大学RMPジャパンの11月の講義テーマは、日本の小売業の業態変遷がひとつのテーマになるので、小売業の歴史を振り返ると、百貨店は顧客を創造する先端モデルだった。例えば高島屋は、69年に日本初の郊外型ショッピングセンターとして玉川高島屋店を繁華街から離れた立地で「成功は難しい」と言われる中で出店した。

▼当時、大学生であり就職のことを考える時期でもあったのでよく憶えている。この店は、日常普段の中での「ハレの日」の消費を生み出し、街そのものを商業地に変えたことは承知の通りだ。高島屋は、1931年に10銭均一のお店を大阪で開業してもいる、当時の米国で成果をあげていた「10セントストア」の研究を重ねたもので、チェーンストアとして51店舗を展開している。高島屋の革新性を物語るものだが、他の百貨店もそうであった。

▼ただ業界(業態)が成熟すると、高島屋も「横並び」と言われ、バブル崩壊後に新規性を失う。消費のデジタル化、新型コロナウイルス禍で危機に追い込まれた格好だ。百貨店は、終わった業態なのだろうか。従来のアパレル中心のモデルでは厳しいと思う。1996年に日本に進出した米国のスターバックスだが、平成不況下で割高なスタバは苦戦するという下馬評を覆し大きな成功を収めたのだが、「禁煙喫茶」という価値だったと言われている。

▼次世代の顧客が求める「百貨」のあり方、新しい価値を百貨店各社は再考し始めている。そのひとつが「若返り」に向けた情報発信と体験を組み合わせたイベントの展開になる。例えば、新宿高島屋は5月、1階JR口特設会場にて、入場無料のイベント「DDTプロレスリング」を実施した。百貨店業界で初のプロレス試合で、トークショーやグッズ販売などもあり20〜30代の観客ら延べ1000人が集結し、SNSでも話題になった。これまでのアパレルを中心に、しかも過去のデータ本位の売場作りからの、ワクワクと共感を高め、来店目的の高い店づくりへのビジネス転換が始まったようだ。

2023/11/11