業績の良いうちに対応策を・・・

個々の企業状況を、この欄で報告することは適切ではないが、30年以上も在籍した企業なのでお許しを頂き、ヤオコーの23年4~9月期の連結決算に関する件を記したい。従前の上期の決算になるのだが、純利益が136億円(前年同期比27%増)だった。この期としては2年ぶりの前年プラスで過去最高益を更新した。食料品の値上げで1点あたりの単価が上がり、消費の二極化対応の販促策で客数も確保し既存店売上高を伸ばしている。売上総利益の増加でコストの増加分を吸収した格好だ。

▼営業収益は3049億円(同9%増)と過去最高を記録した。ヤオコー単体の既存店売上高は7%増、客単価4%増、客数も3%増えた。価格に敏感な若い子育て世帯の集客増を目指し、月替わりで値頃感を出した「厳選100品」という販促企画で、PB商品は10%増収。ライフコーポレーションと共同開発している「スターセレクト」などが好調だった。AIを使った自動発注システムや大量陳列できる棚を導入するなどして作業効率も高めている。

▼結果、営業利益は194億円(同22%増)。賃上げや物流コストの増加で販管費は5%増えたが、売上総利益が9%増え補った形だ。下期も1点単価の上昇が引っ張る形で売上が推移するとみている。顧客の節約志向が強まっており「財布のひも」がどこまで締まるのか見通せないが、少なくとも年内はこのトレンドが続くと見ているようで、単独決算の時期も含めて32期連続の最終増益となる見通しを持っている。

▼食品スーパー各社の動きも順調のようだ。ライフコーポレーションも食品の値上げや人流回復で3〜8月期の営業収益は過去最高を更新したとある。単価の上昇で売上高が伸びたこと、特売比率の低下や納品形態の見直しなどで荒利率を改善してコスト増を補ったとある。値頃感あるPB商品や高付加価値のPB「ビオラル」の販売が好調という。ただ、業界全体としては、人件費が想定以上に上昇しており、時給水準を上げないと採用できない状況などの声も聞く、業績の良いうちに対応策を考えたいものだ。

2023/11/15