「〇〇はこうあるべき」から老害が始まる・・・

「コストコ群馬明和倉庫店」が今年4月の開店時は大きな話題となっていた。コストコでのショッピングが話題になっただけではなく、アルバイトの時給が1,500円、働く時間帯によっては2,025円にもなることも業界内の話題となっていた。群馬県で言えば、来年初めに開店予定の「イケア」も時給1,300円からとなっているという。外資チェーンの好待遇は円安の影響もあるのだろうが、やはり生産性の要因も少なくない。

▼競争の激しい米国市場で、コストコやイケアは生産性を高め高収益のビジネスモデルを維持している。一方、日本では、脱ペーパーすら儘ならないのだから、労働生産性を高めるべく「デジタル化」「オンライン化」は難しい状況だ。特に小売業界では生産性を改善しようとしないから、なおさら低収益が続き賃金も低いままの企業も多い。商業と流通業は同じではないと認識する必要がありそうだ。商業から工業化・製造業化への転換が流通業なのだ。

▼そんな観点で流通先進国の動きを見ると、小売店舗を止めようとしているチェーンストアがある。それがWalmartなのだ。アップル・コンピューターと名乗っていたアップルに社名を変えたように18年に「Wal-Mart Stores Inc」から「Walmart Inc)」に転換したのだがビジネスモデルを偏らせない成長戦略なのだろう。そのウォルマートの荒利益率は、24.1%で推移していたが、今後5年程度で30%や40%に高収益となると明かしている。

▼5年後にはB2Bの利益が1万店を超える店舗利益を超えるというのだ。B2Cの荒利益率は24.1%だが、Marketplaceや広告代理店事業などの企業間のビジネスでは70~80%にも達している。日本の小売店の多くは「いい物をより安く」の価値しかない。米国ではアプリから購入したり、AIやAR機能の便利な買物・ネットスーパーしたり「利便性」も提案している。リテールメディアとしての価値も大きいから高収益になっている。「小売業はこうあるべき」という思考硬直・視野狭窄から老害が始まるという。

2023/11/16