「消費の二極化」が指摘されるようになって久しい。同じ消費者でもオケージョンやモノによって高いものと安いものを買い分ける「賢い消費行動」が定着しつつある。成城石井は、1号店の「成城石井成城店」を、今月14日に全面リニューアルオープンした。店舗外観は、成城の街並みに調和するスタイリッシュなデザインに刷新され、遮熱性能が高い塗料を外壁に使用して省エネ性能を高めたという。最近は、駅ナカ中心の展開であったが、コロナ禍で路面店が再見直しされたようだ。
▼1927年に「石井食料品店」として成城石井はスタートし、76年に食品スーパーとしての営業を開始している。現在、首都圏を始め大都市圏を中心に約200店舗を展開しているのだが、今回の改装は、さすが成城石井という感じだ。クラウンマスクメロンや松阪牛といった地域顧客のニーズに合わせ高級品も用意、ワインは約800種類、ウイスキーは約300種類との充実ぶりだ。すべての商品が約450㎡の売場から、語り掛けてくるようだ。
▼駅や商業施設内の店舗では、惣菜などもセントラルキッチンで製造した品を配送しての販売だが、この店舗では店内加工し出来たても提供している。しかも、強力な火力を出せる調理器具の導入で、これまで難しかったチャーハンなどの中華惣菜も店内調理できる様になったとのこと。部門を横断しての商品開発も積極的で、生鮮売場で販売する黒毛和牛を使った「すき焼き重」、「成城石井 BAKERY」こだわりの自家製パン約30種類も販売している。この「成城石井 BAKERY」は、4月に大阪、京橋に開店したこだわりのショップで、店舗上階の成城石井プロデュースのワインバー「Le Bar a Vin 52 AZABU TOKYO」で仕込んだ食材、成城石井直輸入の素材を使用するなどのオリジナリティ豊かな商品は人気が高い。
▼食品スーパーの近未来戦略は幾つもあるが、代表的な戦略のひとつに、「圧倒的な強さを持つ食品産業(外食も包括)企業を目指す」という事が考えられる。それは、他を圧する専門性と独自性を構築し、独自のサプライチェーンを構築する。製造業・卸売業の機能、輸入調達のソーシング機能をも獲得するというものになると思うが、店舗や販売する商品グレードは別として、戦略として学ぶことは多いと思う。
2023/11/19