小売業界、10月も良好に推移・・・

10月の小売業界は、業態や企業でバラつきあるも、引き続き良好であった。前年に実施された改装開店や食品値上げの影響により対昨年比のハードルは高かった事、天候には恵まれたが、後半を中心に高気温が続いたために冬物商品は苦戦した。曜日配列もマイナス要因に働いたが、全体の基調は変わっていない。コロナ前との比較では、百貨店や家電量販店を中心に消費増税に伴う駆込み需要の反動減がある点を考慮すると、19年比でも良好といえる。

▼個人消費は賃上げによる家計の購買力向上、株高による資産効果などが期待できるが、懸念要因はインフレが更に進行・長期化すること。節約志向が強まり、消費の減速感が台頭するのではないかと思われる。足元では、全体への影響は大きくない。食品はどの業態でも良好である。一品単価の上昇率は9月までに比べやや鈍化したが、値上げ効果が続いている。節約志向がやや強まっており、PBやEDLP型の商品が伸びている。

▼百貨店は10月も好調、高額品、化粧品の好調が続いている。天候の影響で、衣料品、服飾雑貨など季節商品は、秋物は良好であったが、単価の高い冬物は苦戦している。インバウンド需要は企業によって65.5増~137.8%増という。コンビニ大手3社は、既存店で客数増が継続している。飲料、カウンターFF、パンなどが好調。調理麺は高気温でやや苦戦。タバコは小幅改善。ドラッグストア各社は物販、調剤とも良好であった。医薬品は、インフルエンザ流行等により風邪薬が伸びた。外出需要が寄与して基礎化粧品やメイク等が良好。外食企業の既存昨比は、プラス幅縮小の企業もみられるが外食需要は力強い印象である。

▼数値の羅列になるが、SM業界、10月の主な企業各社の業績は次の通りである。

◎アークス:既存店5.4%(客数0.8%・客単価4.5%)、全店6.2% ◎アクシアルリテイリング:既存店5.2%(客数2.5%・客単価2.6%)、全店6.5% ◎いなげや:既存店5.5%(客数3.7%・客単価1.7%)、全店6.6% ◎オークワ:既存店 0.5%(客数▲1.1%・客単価1.6%)、全店3.5% ◎関西フードマーケット:既存店4.5%、全店3.6% ・関西スーパー:既存店6.2%、全店5.2% ◎ダイイチ:既存店3.4%、全店3.4% ◎バローHD:既存店6.4%(客数▲0.3%・客単価4.9%)、全店6.1% ◎ハローズ:既存店9.7%(客数6.2%・客単価3.3%)、全店14.2% ◎ベルク:既存店10.6%(客数5.6%・客単価4.7%)、全店15.6% ◎マックスバリュ東海:既存店5.4%(客数2.0%・客単価3.3%)、全店6.8% ◎マックスバリュ西日本:既存店3.3%(客数▲0.5%・客単価3.8%)、全店2.7% ◎ヤオコー:既存店8.8%(客数5.1%・客単価3.5%)、全店10.0% ◎ヤマザワ:既存店2.8%(客数3.1%・客単価0.4%)、全店9.3% ◎ユニバース:既存店5.7%、全店 7.8% ◎U.S.M.H:既存店▲0.1%、全店0.4% ・マルエツ:既存店5.2%(客数4.3%・客単価0.8%)、全店5.8% ・カスミ:既存店▲7.8%、全店▲7.4% ・マックスバリュ関東:既存店5.4%、全店5.4% ◎ヨークベニマル:既存店3.3%(客数▲0.1%・客単価3.3%)、全店5.2% ◎ライフコーポレーション:既存店2.9%(客数 1.3%・客単価1.6%)、全店4.9% ◎リテールパートナーズ:既存店6.1%(客数▲0.1%・客単価6.2%)、全店8.5%

2023/11/25