米国のブラックフライデーの今年は・・・

毎年、米国に長期出張する友人から、ワクワクするような臨場感満載のメールが届くのだが今年は少しトーンが違った。感謝祭翌日の金曜日は米国人の多くが休暇を取り、買物を楽しむので、一年で最も売り上げが大きい日とされるが、今年は長引くインフレによる節約意識やオンライン通販への移行などで、例年に比較して客の入りはやや少なめだったようだ。オンラインセールや販促の分散化で実店舗の営業時間もコロナ前に比べて短縮傾向にあるらしい。

▼全米小売業協会の予測では、今年11〜12月の年末商戦の売上高は前年同期比3〜4%増の9573億〜9666億ドルとある。伸び率は4〜5年ぶりの低さで、インフレの影響を除いた実質では、ほぼ横ばいとの見方になる。背景にあるのは、先行き不透明感だ。米連邦準備理事会の高金利政策でローンを利用した高額消費はハードルが高くなった。消費を下支えしていたコロナ禍対策の給付金などの貯蓄も底をつきつつある。今秋には学生ローンの返済も再開した。

▼小売店が消費者の「インフレ疲れ」に対応して、セールを前倒ししてきた影響も否めない。その上、WalmartやAmazon.comなどは昨年あたりから10月にも大型セールを開くようになり、ブラックフライデーの消費需要を先食いしている可能性もある。また、小売各社サイドも値引きをしにくい事情もある。昨年の年末商戦で過剰在庫解消のための大幅値引きをせざるを得なかった反省から、在庫量を控えめに調整しているという。

▼ただ、オンライン消費が拡大しており、店舗の客足だけでは米消費の動向を掴みにくくなっている側面もある。11月1日から23日迄のオンライン通販の売上高は、前年同期比6.8%増と好調に推移しているとの報告もある。Amazonは「プライム・ビデオ」で米プロフットボールリーグの試合を中継する試みを始めた。消費者を自宅のテレビ画面の前にくぎ付けにし、実店舗ではなくネット通販での買い物を促す狙いなのだろう。実店舗よりオンライン優先で割引する企業も多くなり、セールのあり方で消費動向も変わって来ている。さて、実態はどんなだったのだろうか?

2023/11/27