高齢者、それも後期高齢者になったので、近ごろは月日がたつのが早く感じられる。新年を迎えたと思ったらもう今日から師走だ。理由は諸説あるらしいが、そのひとつに身体の代謝なのだという。代謝が低下すると体感時間がゆっくりと進む。結果、実際の時の進みとギャップが生じて、時計に先に行かれてしまうという事だ。うなずかれる同輩の人も多いのではないかと思う。企業も同じなのだろうか。企業の代謝エネルギーは高く維持したい。
▼1年を総括するのは早いが、食品スーパーにとってこの1年は様々な面で価値観を変えなくてはならない年であった。コロナ禍を経て日常を取り戻しつつあるなか、インフレという新たな経営課題に直面した。消費者の意識変化も踏まえた持続可能性に配慮した企業活動、Digital Transformationを通じた効率化、買物体験の向上などの取組み課題は枚挙にいとまがない。代謝エネルギーを高め、スピーディな変化対応が迫られている。
▼コロナ収束による反動減が予測されたが、商品の値上げが後押しして来た。「スーパーマーケット統計調査」によると、昨年10月から売上高対前年同月比が伸長し続けている。既存店の同対前月比も、2月こそ-1%したが、伸長し続けているのだ。上場企業の上期決算を見ても軒並み好調の数値を出している。業界最大手のライフコーポレーションの上期決算(連結)は、営業収益が対前年同期比6.0%増、営業利益は同39.2%増の増収・大幅増益だった。
▼足元では、販売管理費の増加を、商品の値上げを始めとする外部環境の好転が消費を後押し、営業総利益の伸びが販管費上昇を上回ったかたちになる。しかし、原材料やエネルギー代などの各種コスト増、商品開発や原材料の手配など収益を圧迫する要因が解決したわけではない。さらには「物流の2024年問題」に起因する物流コストの上昇も予測されるなか、喉元過ぎればなんとやらではなく、業績が安定しているうちに、事業構造改革に取り組まなくてはならないであろう。
2023/12/01