セブン&アイ・ホールディングス、コンビニ専業に・・・

(HD)は、豪州でコンビニエンスストア「セブンイレブン」ブランドの店舗を運営する「コンビニエンスグループホールディングス(HD)」を買収すると発表した。取得額は約1700億円になる。6月末時点でセブンイレブンの店舗を751店運営しており、コンビニで豪州最大手とある。今回のHD買収を通じて、傘下のセブンイレブンストアーズ社をグループ会社にし、EBITDAベースで27年度に最大30億円を目論んでいる。

▼豪州は若年層や移民らが多く、60年代半ばまで年平均1%を超える人口増が予測されており、米国などを上回る人口増が見込まれている。国民の平均年齢も日本より10歳以上若い上に、1店当たりの人口は日米より多いので魅力的な市場なのだろう。これまでシドニーなど都市部を中心の店舗展開だが、ビクトリア州やクイーンズランド州など出店余地がある地域で出店を加速させ、30年ごろには累計店舗数を1000店以上にしたいとしている。

▼日米で培った経験を生かして食品の新商品開発を増やし、現地のニーズに合った日用品などの品揃えを拡充し、情報技術を使った業務効率化などでコストも低減させ利益を増やしていく予定なのだろう。日本国内のセブンイレブンも既存店売上高が20カ月連続で前年実績を上回り好調を維持している。百貨店子会社だった「そごう・西武」の売却が完了したので、これからは北米などのコンビニ事業に一段と注力するのであろう。ただし、国内外とも成長力を維持できるかが課題になりはしないか。

▼セブン&アイは、日本や北米、アジアを中心に20の国と地域で、コンビニエンスストアの店舗を8万店展開している。ただ、直接運営する店舗は米・ハワイや中国・北京などにとどまり、大半は展開のための「ライセンス」を現地企業に供与する形のはずなので、中長期的には、今回の豪州のように現地運営会社に出資する事例が増える可能性が高まるのだろう。グローバルな小売業ビジネスとして発展を遂げるのであろうが、イトーヨーカ堂に入社して小売業界で過ごした身には、寂しさが無いわけではない。

2023/12/03