「Try&Error」なの?事業撤退の判断の速さには・・・

米国小売業の業態進化は、統合チャネル化(オムニチャネル)に進んでいる。これまでは、商品とサービスレベルの競い合いであった小売業も、オンライン業態の台頭により、買物体験の拡大と不便さや抵抗感の削減という新しい戦いの武器が加わったのだ。対面やリモートでの体験提供やパーソナライゼーションの改善、不便さの削減と不必要なステップ削減、価値時間の減少解決に向けて、オンライン、オフラインそれぞれの課題解決に向け凌ぎを削っているのだ。

▼オムニチャネル化がどこまで進展するかは不明で、それはゴールではなく、そこから新たな業態が誕生するだろうとの意見もあるが、オムニチャネルに最も近い業態がスーパーセンターになるのだろうか。この業態、有力ブランドを店舗内店舗としての導入、店舗拡大よりもECを拡大することで業態価値を高めている。例えばTargetだが、小型店展開を積極化し、ECの拡大に伴うフルフィルメントの拠点としての役割を担わせるようだ。

▼スーパーマーケット業態は、低価格小型店舗が好調な一方、大型化推進店舗も好調に推移しているが、オムニチャネル化ではInstacartやDoor dashなどと提携し対応を推進している。スーパーセンター業態との差別化のため、外食との融合など顧客体験の強化を展開して来た。Krogerは、On The Rhine EateryやKitchen Unitedを店舗内店舗として導入して来た。専門性を強化した品揃えなどの「体験の拡大」と配送コストを含めた価格対応争いに対応してのものだ。

▼このKitchen Unitedは、「ゴーストキッチン」なのだが、イートインスペースを持たずデリバリーやテイクアウトに特化したシェア型厨房のことだ。Krogerが8ヶ所で展開して来たKitchen Unitedが突然スクラップされた。ゴーストキッチンは、コロナの影響で非接触の出前や持ち帰り需要が急増し飲食業界のトレンドとなっていた。家族などそれぞれが別々のメニューを注文できるメリットも大きいと評価が高かったのだが、物価高やガソリン高などで敷居が高くなっていたのだろうか原因は不明だ。それにしても米国企業の撤退の判断の速さには驚かされる。

2023/12/05