「日経MJヒット商品番付」にみる世相・・・

2023年の「日経MJヒット商品番付」が12月6日に発表された。東の横綱は「生成AI」、西の横綱は「大谷翔平&WBC」。アフターコロナで行動制限が緩和され、スポーツなどのイベントが盛り上がりを見せた年であった。これまで限界と言われた壁の幾つもを突き抜けた技術や異才の活躍が人々を熱狂させた年であった。円安の恩恵になるのかインバウンドが高額な商品市場を盛り上げる一方、物価高で、コスパのいいサービスや商品への支持が広がっている。

▼東の横綱だが、米国のオープンAIの「ChatGPT」が火付け役になって、誰でも簡単に文章や画像などを生み出せるようにした「生成AI」は変革をもたらした。LINEヤフーやメルカリなども利用者向けサービスに相次ぎ導入した。伊藤園は日本で初めてテレビCMに生成AIで作ったモデルを起用したとのTVニュースが流れた。9月頃の新商品「お~いお茶 カテキン緑茶」のCMだが、このニュースを見るまで全く気付きもしなかった。

▼西の横綱は、日本人初のMLB本塁打王に輝いた大谷翔平選手だが、彼を広告起用したブランドを中心に「大谷売れ」が続出した。コーセーでは「コスメデコルテ」シリーズを始めて購入した男性客数が主要百貨店で一時13倍となったという。西川のマットレスは4~10月の売上が前年同期比60%増であった。他にもTVの平均世帯視聴率やドキュメンタリー映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」の観客動員数でも1カ月で88万7千人、興行収入でも17億円に達したとある。

▼西の前頭筆頭は「円安リッチ訪日客」で、円安を追い風に高額品やラグジュアリーな体験を求める「円安リッチ訪日客」が勢いづいた。10月の全国百貨店の免税売上高は過去最高だ。百貨店は、11月も好調に推移している。店舗では高額品とインバウンド需要に強い都心大型店が引き続き好調。一方でコスパの高いサービスや商品も支持を集めた。東の小結は月額2980円の低価格ジム「chocoZAP」はサービス開始から1年強で会員数が101万人を超え、日本一のジムに浮上している。消費動向や世相などをヒット商品から見詰めてみたい。

2023/12/10