政府公表の消費に関する統計に温度差がある。食品スーパーに関連してよく見るのが総務省公表の家計調査報告になるのだが、8日発表の10月の家計調査では、物価変動の影響を除いた実質消費が前年同月比2.5%減少と8カ月連続のマイナスに沈んでいる。内閣府が発表した7〜9月期のGDP改定値でも個人消費は速報の前期比▲0.0%から▲0.2%に下方修正されている。
▼一方、7日に公表された日銀の10月の消費活動指数(実質)では前年同月比▲0.3%とほぼ横ばいで、前月比では0.5%の上昇だった。個人消費は推計が難しいらしく、過去にも幾度となく精度向上に関する件が取り上げられてはいるが、今年に入ってから2つの統計の傾向の乖離が目立っているようだ。日銀は、「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加している」と10月のリポートで現状を前向きに評価している。
▼「客単価が落ちている」との声も聞くが11月の食品スーパーは好調に推移している。ライフコーポレーションは既存店売上昨年比3.3%増、客数昨比1.2%増、客単価昨比2.1%増である。ヤオコーも同売上昨比7.5%増、客数昨比3.6%増、客単価昨比3.6%増だ。勿論、低価格商品の訴求や値下げ対応の効果でもある。物価高を背景に節約志向が強まる中、「逆張り」の値下げで価格感度の高い客の獲得につなげる動きも出てきている。
▼「東武ストア」は今夏から値下げ販売を実施している。12月は生鮮や加工食品、日用品など211品目を対象に最大4割値下げするとの発表だ。足元では対象商品の買い上げ点数が前年比3~4割増え、前年割れが続いていた客数が回復するなど効果が出始めている。イオンは9月から「トップバリュ」で食用油など31品目を数%~20%程度値下げしている。11月には菓子パンなど31品目で値段を据え置き増量する「実質値下げ」にも踏み切った。日銀は、個人消費が萎んでしまうリスクも警戒が必要なのだろう。消費が折れると観測の強まっているマイナス金利解除にも影響が出てしまうるからなのだろう。
2023/12/12
