流通コンサルタントの後藤文俊氏のブログに掲載されていた米国小売業の話題を紹介したい。テキサスを地盤に430店の食品スーパーを展開する「H.E. Butt Grocery(HEB)」も6日、倉庫型ディスカウントスーパー「Joe V’s Smart Shop」の10店舗目の店をオープンした。この店舗は、「HEB」のグルメスーパーマーケット「Central Market」に続く、第3のフォーマットになる。「HEB」は米国小売業界を代表する地方の雄であり、「Central Market」の店舗は、ヤオコーの新しいフォーマットモデルを構築するに当たり何度も訪問させて頂いたので、倉庫型ディスカウントスーパーの展開は正直驚きだ。
▼競合「ALDI」をモデルにしたこのフォーマットは、余分なサービス等を提供しない55,000平方フィート(約1550坪)となる簡素な倉庫型店舗となる。「HEB」の標準フォーマットが約100,000平方フィートになるので、それの半分程度の店舗面積で約150人の従業員、品揃えは1万アイテム弱を揃え、午前7時~午後10時までの営業になる。2010年5月に1号店をオープンしているが、10店舗すべてがヒューストン周辺のみとなる展開だ。
▼倉庫型で簡素なつくりといっても、派手なPOPでお客の目を楽しませている。入口には「今日も未来も永遠に低価格!これがJoe V’s way」、青果物には「新鮮さを収穫、価格はジョー価格!これがJoe V’s way」と表示、冷蔵品には「お客様のコールド・ハード・キャッシュ(現金)をセーブします!これがJoe V’s way」、トイレ表示にも「街で一番綺麗なトイレはここです!これがJoe V’s way」といった具合だ。
▼実際、商品も本当に安く、競合店より15%~20%も安く提供することで低所得者層などから高い人気を得ている。特に目玉にしているのはバナナとメキシコのパンのボリヨだ。バナナは1ポンド(450グラム)33セントで、100グラムにすれば10円程度の値段になる安さだ。店内で焼き上げるボリヨは8つで1ドルで訴求している。しかも、倉庫型ディスカウントスーパーといえども流通DXでカーブサイド・ピックアップも提供している。
2023/12/14