「食料」の物価変動率の高止まりが続く。食料はオイルショック以来47年振りの水準にある。帝国データバンクの調査によると前年の25%増の累計3万2000品目が値上げされている。為替相場も円安基調が続き、食品原料を輸入に頼る日本には厳しい環境にある。異常気象の影響で原産地での価格高騰も収まっていない。干ばつの影響で米国の肉用牛は、先物価格が過去最高値圏を記録していた。
▼もともと日本は欧米に比べ価格転嫁に時間がかかるので、原料コストの増加分を製品価格に転嫁しきれずにいる企業が多い。値上げして利幅の回復はこれからと期待している向きもあるのだか、大手小売業は、既にカップ麺などの自社開発商品の値下げに踏み切った。生活協同組合も日配商品で、量目を増やすなどの実質値下げが始まっている。物価上昇の影響を除いた「実質賃金」がマイナスが続き、賃上げがインフレに追いついていないからだ。
▼このような中で、政府始め大胆な賃上げが欠かせないとの論調にある。かつて日本が目覚ましい成長を遂げた時代、賃金は物価と共に毎年のように上昇していた。それが長期停滞に陥りいずれもほとんど上昇しなくなった。足元で物価が大きく上昇し始めているのをチャンスとして大幅な賃上げさえを実現して経済の好循環を実現しようとの期待が高まっている。ただ、本当にそれだけで上手く好循環が続くのであろうか。
▼長期停滞下の中、日本の企業は足元の利益確保のため、近視眼的にコストカットを行い、研究開発費など抑え続けて来た。結果、資金余剰を膨らませたが、この間に各国の企業は、革新的な技術開発に血眼になって取り組んできた。先行企業こそ、その後も大きなシェアを持ち続ける傾向があるからだ。これは、深刻化する「食の課題」を多く抱える食品スーパーも同じだ。顧客価値に合わせたフォーマット創造に大胆に投じていく企業こそ、オムニチャネルを実現する統合的な小売業態創造に繋がるはずである。
2023/12/16
