北関東に本社を置く家電小売3社(ヤマダ、ケーズ、コジマ)が、苛烈な価格競争を繰り広げていたため「北関東YKK」と呼ばれることがある。ヤマダの脅威となったのが、「安値日本一への挑戦」を掲げ価格競争力を高めたコジマになる。需要が旺盛な時は、価格競争を行っても利益を出すことが出来るのだが、現在のように需要が落ち着くと値引き合戦は組織の疲弊を招く。ヤマダが住宅や家具販売などコングロマリット化を推し進めた背景は、不毛な価格競争に対する危機感があった。商品の幅を広げて提案力を高め、顧客からの支持を得ようとしていたことだ。
▼ケーズは「がんばらない経営」という方針を掲げているのが特徴になる。無理をすれば必ずその反動があり、経営に何らかの歪みが生じるということに基づく。顧客第一主義を貫くために「社員」、「取引先」、「顧客」の順番で考えることを重要としている。この視点は出店戦略にも生かされ、毎期20店舗程度をコンスタントに出店している。これは、従業員が店長昇進を目指して欲しいとの想いが込められている。出店リスクを背負ってでも、働きやすい環境を整えることが、結果的に顧客満足度の向上に繋がると考えているのだ。
▼ケーズの売上高は堅調に推移している。23年3月期も、特需が生じた11年3月期と売上高はほぼ同じ水準にある。2社の違いは営業利益率の違いに表れており、ヤマダは19年3月期から23年3月期まで、一度も営業利益率でケーズを上回ることができていない。23年3月期はケーズが1.3ポイント上回っている。ヤマダの家電部門の販管費率は26.6%。ケーズは24.1%であり、違いの要因が人件費になる。ヤマダは11.1%、ケーズは9.0%とヤマダは2.1ポイントも上回っているのだ。
▼ケーズが郊外型を貫くのに対し、ヤマダは池袋駅前に大型店を出店するなど、多様な出店形態を維持している。コングロマリット化を進めたヤマダは、複合型の大型店出店をしており、各部門の専門人材が必要なための人員増があるのだろう。集客に苦戦しているのであれば、人件費の負担が重くなって利益を圧迫することになる。価格競争から脱するヤマダの戦略は、商品の幅を広げた上で顧客への提案力をつけ、付加価値の高いサービスを提供するものだったのだろうが、それが上手く行っているようには見えない。
2023/12/21
