元旦のお祝い気分を覆るように、「令和6年 能登半島地震」起こってしまいました。心からお見舞い申し上げます。今後も広範囲に活発な地震活動が続くと思われます。気を付けて頑張って下さい。特に小売業の皆さん、安全を担保しつつ役割を果たして頂きたいとお願い申し上げます。
さて、コーネル大学RMPジャパン12月は、上原征彦先生の「経営戦略」に関する講義であった。講義の中で先生の近著『欲望の生産性』(日本生産性本部)に関するお話があり、昨年末に読んで見たが大変に興味深い内容である。マーケティングを中核とする経営戦略の研究をしてきた先生が、最も重要な経営資源である人材をどう捉えるべきかについて人間を欲望の塊(欲望の集合体)として概念化すべきだというものだ。
▼著書の中でいう欲望とは「目的と手段とを希求する志向」を指している。確かに、他の動物も目的と手段を希求して生きているが、自分がどんな欲望を抱いているかを自覚できる のは人間のみだといえる。このことは、人間で構成される社会が(その形態としてのビジネスも)、人間の多様な欲望によって左右されていると示唆している。著書では、多岐にわたる人間の欲望を「金欲」「我欲」「開発欲」に類型化している。
▼「金欲」は貨幣蓄積欲(お金を出来る限り多く保有したいという欲求)を、「我欲」は金欲を除く欲望の全てを、「開発欲」は我欲のうち「今までに無い新しいことをしたい」という欲求を指している。3つの欲望類型のうち、社会にとって最も大きな役割を担っているのが金欲である。人間が貨幣経済で生存している限り、金欲の達成は、我欲や開発欲の達成を容易にする機能を有している。金欲の達成は、人間の生存を豊かにする基盤を創出するものとある。
▼今でも「彼奴は金の亡者だ」と金満家を卑下する風習を散見する。西欧の騎士や日本の武士も「金よりも忠誠」を標榜し、社会に自分の振る舞いが認められる道徳的行為に理念的価値を置いていた。しかし、時代が進展するに伴い、特に経済や社会に造詣が深い実務家や研究者の間では、現在の資本主義社会に於いて、利潤極大化への志向が社会の進化に極めて有効であることが認められるに至っている。 (続く)
2024/01/02