あまり話題に上っていないが、7月には新紙幣の導入が予定されている。食品スーパーだけではないが、紙幣を読み取るレジや精算機のシステム改修に関するコストもバカにならないように思える。それよりなにより心配なのが、「物流の2024年問題に関連するコスト増」だ。実際どれだけのコスト増になるかはっきりと見通せていない。政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」を受けて食品スーパー3団体(全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会)は12月に自主行動計画を発表した。
▼自主行動計画の中で、食品スーパー3団体は、荷待ち・荷役作業時間の把握、付帯業務の認識合わせ、荷待ち・荷役作業時間を2時間以内に、作業にかかる対価の認識合わせ、支払い者の明確化、料金の支払いなどを実施が必要なこととして明記した。また、国交省は「運送業者が交渉時に参考とする標準運賃を平均8%引き上げる」とする検討会の内容を公表した。これらがそのまま通るとなれば、付帯作業を切り分けた配送費が8%アップ、付帯作業は別途請求になる。
▼作業の効率化なしではコストアップは避けられそうにない。特に課題になりそうなのが食品スーパーに欠かせない生鮮物流への影響だ。遠隔地からの商品がこれまで通りにきちんと届くかの心配がある。配送問題が解決しないとなると、従来の産地リレーが成り立たなくなる恐れすらある。生鮮調達網を再構築に向けての動きが一部の企業で始まっている。これまでの産地が変わるだろうし、地産地消の動きも強くなりそうだ。
▼これらコスト上昇に関しては、厳しい環境に置かれる食品スーパーが出ることは間違いない。大手でも勝ち組負け組の色分けがより鮮明になっている。人口減に加え、店舗の老朽化、他府県資本の進出などで、業界全体の業績とは別に、個の企業の動きが気になる状況にある。NHKの番組では、経営不振から9店舗すべてを閉店した例を取り上げていた。町からスーパーマーケットがなくなり、県知事までが登場して対策チームが発足されるという動きであったが同様のケースは増えそうだ。
2024/01/07