流通情報誌の『月刊 激流』2月号に掲載されている特集記事を参考にさせて頂いている。「流通業界2024年 全予測 総合スーパー」の記事だが、ジャーナリスト石橋忠子氏の執筆だ。石橋氏の分析は、どの記事も面白く毎号楽しみにしている。「西友」に関する記事だが、専ら売却先が取り沙汰されているとある。西友の株だが、投資会社KKRが85%を保有し、残りはウォルマートが持っている。PPIHやトライアルに売却を持ちかけたという噂が飛び交っているようだ。
▼そのためにか、昨年12月には倉庫出荷型ネットスーパーを展開する「楽天西友ネットスーパー」の株も楽天に売却している。それまでも約400人をリストラし、本社家屋と土地も売却している。店舗事業も、値上げ対応などの面で利益率を最優先した施策が続いている。前22年12月期の営業利益は242億円。約5割増との発表だが、「PB以外の販売力は高まっていない。その意味で企業価値も高まっていない」というのが取引先の見方と言う。変更時のシステム障害で売場は欠品だらけになった時の対応力などを見て、今後の動向に注視の目が向けられている。
▼「ユニー」は、PPIHの子会社化して5年が経過する。「ドン・キホーテ」と「ユニー」の「ダブルネーム」の名の下に、DS事業への店舗転換が進み、「ユニー」の店舗数は約60店減っている。当初は、確かに雑貨などドンキ的な面白い商品が導入され、非食品の構成比も高まり既存店が伸びた。他のGMSが軒並み苦戦する中で、ユニーの1人勝ちだったのだが、21年からは既存店前年割れが続き、特に客数が97%前後で減少し続けている。
▼店舗数と売上げが減ったので、取引先への発言力が弱まり、地域での存在感も低下しているのが現状のようだ。ドンキとユニーの仕入れは別個だが、昨年はユニーの店舗に期間限定ながら、ドンキのPB「情熱価格」を集めた売り場が登場するなど、ユニーのドンキ化は進むばかりのようだ。ただ、ドンキほど面白いわけでもない。この中途半端感が新規客は増えず、既存のお客はイオンに流れるという状況を招いているとある。ユニーのための改革ができるのかどうかが今年のポイントになる。
2024/01/18