DXの究極はパーソナライゼーション・・・

小売業界でも、人口知能(AI)によって在庫管理や需要予測など、これまで人的依存していた業務をAIで代替できるようになってきている。昨年11月に開催された、サミット(株)の第2四半期決算説明会での服部 哲也社長のコメントにも「DX関係については、来春にAIによる自動発注を全店に導入すべく、現在2店舗で実験しています。最初の段階で一時的に在庫が増えたり、納品量が特定の日に偏ったりすることもありましたが、調整した結果、日を追うごとに精度が良くなっています」とあった。

▼この自動発注は店の取組みだが、これを消費者が行うとしたらどうだろうか。お客がAIを使って消費行動を割り出した上でお店に発注する仕組みだ。この誰も手を付けていない小売イノベーションを米国のWalmartが開発している。Walmartは9日、留守宅の冷蔵庫に宅配する「InHome Delivery」を、AIを使ってアップグレードするサービスを発表した。

▼まず「InHome Delivery」とは、温度管理の必要な食品も配達員が配達し、冷蔵庫に直接入れるサービス。毎日、午前9時~午後6時までに専用のアプリを使って利用客宅のドアを開錠し、シューズカバーに手袋・マスク姿で入り、注文品を冷蔵庫に詰めたり、ガレージの冷蔵庫内に置いたりするサービス。利用者は、配達員の様子をリアルタイムで確認でき、録画でも専用アプリでチェックできるなど万全の安全対策は取られている。月額12.95ドル(年額98ドル)の「Walmart +」に月額7ドル(年額40ドル)を追加することで受けられる。

▼発表された新しいサービスとは、利用者の消費パターンをアルゴリズムで割り出しAIが分析して、牛乳や卵など注文する可能性が高い商品を自動的に配送する仕組みという事だ。帰宅したら冷蔵庫の中は食品で満たされ、気づけばショッピングカートに切れかけた食品が補充されているということになる。なんだか気味の悪いサービスで、顧客からの評価が気になる。Z世代は、今までの買い物常識が通用しない世代でもあるので流行るかも知れない。Walmartは、DXの究極はパーソナライゼーションということを訴求しているようだ。

2024/01/19