コーネル大学RMPジャパンの1月の講義は、米国の経営学者マイケル・ポーターが提唱したファイブフォース(脅威)分析で食品スーパーの脅威を明らかにし、収益性を高める糸口をつかむことにあった。食品スーパーの競争優位性を探るため、「コンビニエンス業界」、食品の売上構成比を伸ばしている「ドラッグストア業界」の現状と課題、加えて「米国小売業のDX戦略の動向」、「SDGs経営」に関して講師の方々にお話し頂いた。他業態の動きを整理しておきたい。
▼まず「コンビニ業界」だが、国内店舗数は「減少トレンド」に入りつつある。19年以降、微減と微増で推移して来たが、22年12月末は前年より112店減少。昨年も11月まで前年同月より減っており、2年連続減少になりそうだ。純増を維持しているのは、セブンイレブン・ジャパンのみ。ファミリーマートは21年度から減少が続き、ローソンも22年度は減少。23年度も11月まで累積で5店減少となっている。11月末でセブン2万1471店、ファミマ1万6410店、ローソン1万4626店の状況にある。
▼今年も、セブンは「出店加速」を表明、西日本を中心に手薄のエリアを埋めるためのようだ。一方で、ファミマは、不振店の整理を続ける意向である。しかも、20年度からFCを断念した店舗を直営化し、再びFC店化する政策を実施しているので、直営店が今期上期で769店と急増している。そこにも閉鎖の手が及ぶ可能性がある。ローソンは、買い物困難地域にも積極的に出店していく意向のようだが、人口減少下でかつてのような大量出店は難しくなっている。
▼人流の回復と値上げ効果などで成長軌道に戻りつつある。既存店売上高も一昨年来、ポプラ、ミニストップを含め軒並みプラスが続いており、まさに絶好調と言える。しかし、消費者の節約志向や店舗数の減少、チェーン間格差の更なる拡大など業態としての成熟化も進行している。結局、各社とも既存店の収益力を高め続けない限り、持続的成長は難しい環境になっているのだ。平均日販と荒利益率の改善がこれまで以上に重要になるステージに入っていると思える。
2024/01/21