コンビニ各社の全店平均日販は、セブン70万1000円、ファミマ55万4000円、ローソン55万1000円であり、セブン、ファミマが過去最高、ローソンもここ10年では最高額を達成しており、営業利益、加盟店利益もコロナ前を上回っている。特にファミマは既存店前年比を27カ月連続でクリアしており、大手の中で最も高い伸びを達成しそうだ。セブンは値上げが続く中、昨年からボリュームゾーンを軸に、品揃えの幅を上下に広げた。荒利を削らず、逆に高める商品政策で生活防衛下の多様なニーズを取り込んでいる。
▼ローソンは、日販の回復が遅れたが、22年6月の「ハピろー!」プロジェクト開始を機に弾みが付いた。そして、北海道、近畿で先行導入していたエリアカンパニー制を全国に拡大したのだ。機動力アップと地域密着強化が狙いで、中部カンパニーの「どえりゃあ!でら盛りフェア」など地域特性を生かした商品開発、販促が活発化しているのも弾みが付いた要因のようだ。
▼大手3社が揃ってコロナ前を上回ったのには、コロナ禍で人流が激減したのを機に、これまで食品スーパーで買物をしていた近隣住民を引き込むために、つまり人流だけに頼る商売からの脱却を図ってきたことが大きいようだ。コンビニ業界は、「セブンとそれを真似するその他の会社」と著名コンサルタントに揶揄された時期もあったが、これまでの同質化競争とは異なる競争が生まれつつある。
▼ローソンは、店内調理の「まちかど厨房」を9200店に導入。メニューも米飯・調理パンから惣菜に広げている。3尺棚4本で展開の「無印良品」も、1万2700店に導入。さらに、韓国コスメの導入は10代の顧客を増やしたという。ファミマは、「コンビニエンスウェア」を展開し、若い世代を含めて女性客を増やしているという。セブンを手本にしたこれまでのコンビニとは明らかにイメージの違うチェーンになりつつあるようだ。
2024/01/22