セブンは、「ダイソー」の商品を導入するなど扱い商品を増やしてきたが、顧客の目的来店性面での武器は、あくまでも中食などの「味」となるのだろう。創業50周年を迎え、健康・地域・環境・人財の「社会的価値の追求」宣言をしたのも、社会課題の解決につながる方法で「便利さ」と「おいしさ」を実現していくというものなのだ。創業以来、専用工場やチームMDなどインフラを整備し、中食の商品力を高めて来たのと同様の取り組みが、地域ごとの生産者との間で始まっている。
▼若い世代の取り込みはセブンにとっても課題になっている。そこでは、先行したファミマ、ローソンが、セブンとの差をどこまで縮めることができるか興味深い。新たな収益源になると思われる「リテールメディア事業」も、先発はファミマだが、昨年本格的参入を発表したセブンは、会員数2200万人のセブンイレブンアプリへの広告と販促を一緒に行う施策を開始している。ファミマとセブンの対決となりそうだ。
▼ファミマは、デジタルサイネージを8000店に導入しており、2月末までに1万店に拡大する予定でいる。1万店が実現すれば、地域限定の情報配信を始めるとの広報だ。サイネージでは、店舗にない商品の広告も配信しているが、ただ広告を流すだけでなく、ダウンロード数1800万件の実績を持つファミペイアプリで、広告と売場のPOP、サイネージ広告を連動させるプロモーションを開始している。効果が評価されてか、広告主も高いレベルで増えているとの広報談があった。
▼一方、セブンは日販引き上げが目的であるためか、店舗での取扱商品に限定。販促終了後には、購入率、客層分析、リピート率など購買行動を分析したレポートを広告主に提供している。デジタルサイネージについては、現在100店で実験中だ。効果性を考慮し、どこに設置すればより多くの入店客の目に留まるかを、モニターカメラを付け検証している。最適な設置場所と一定の視認率を確認できれば、一気に導入店を増やしていく方針のようだ。ここでも同質化競争とは異なる競争が生まれつつある。動向が気になりそうだ。
2024/01/23