競合業態の動向は・・・(ドラッグストア ②)

食品スーパーにとって、ドラッグストア(DgS)動向で注目しなくてはいけないのが、生鮮の取り扱いが更に進み、フード&ドラッグのすそ野が広がるのではないかという事だ。多くのDgSで、青果や精肉を取り扱うことが当たり前のようになってきている。「杏林堂」や「クスリのアオキHD」、「Genky DrugStores」だけでなく、「クリエイトSDHD」や「ウエルシアHD」なども取り扱いを拡大し、非上場企業にも波及していると伝えられている。

▼「キリン堂」は、青果・精肉を本格的に取り揃えた店舗を、奈良と京都にオープンした。「クスリのマルエ」(ウエルシアグループ)も、昨年2月、Aコープ東日本の協力を得て本格的なフード&ドラッグを出店している。このほか、「クスリのアオキ」や「クリエイトSD」のように、食品スーパー(SM)を取り込む動きも出てきた。兵庫県姫路市を中心に展開する「ゴダイ」は、地場SMの事業を譲受し、生鮮の取り扱い強化に乗り出した。

▼SM並みの生鮮食品の品揃えが出来れば、集客力は高まる。「クスリのアオキ」は、自社運営の店舗で、高品質な生鮮の品揃えを実現、圧倒的な集客力を見せている。SMも運営コストの高騰や人手不足など厳しい経営環境に曝され、特に人口減少が進む地方では閉店も増えている。SMを取り込んで、本格的なフード&ドラッグがどれだけ増えるかになりそうだ。生鮮売場管理技術は、SMだけであったものが、そうでは無くなりつつあるのだ。

▼更に、DgS業界でも、脱同質化競争の切り札となる独自性のあるPB商品開発が進んでいる。〝その企業らしさ〟の追求がどれだけ出来るかになって来ている。「ウエルシア」は、「からだウエルシア」「くらしウエルシア」の開発方針を発表している。化粧品、食品、ヘルスケアなど、顧客の声を反映させながら競争力のある商品を開発する体制構築を打ち出した。26年2月までに、前期末の200SKUから400SKUと倍増を目指す構えである。ここでも、食品スーパーにとって、売場の魅力度と効率的な店舗運営をどう確立させるのかの業態間競争が熾烈になりそうだ。

2024/01/30