トヨタの豊田章男会長が、グループ指針の説明会で「顧客の信頼を裏切り、認証制度の根底を揺るがす極めて重いこと」などと謝罪した。昨年12月にダイハツ工業が30年以上にわたって軽自動車などで品質不正を続けていたことが判明、日野自動車もトラックなどの排出ガスや燃費を巡る不正が発覚した。そして、トヨタの源流企業である豊田自動織機が、自動車用エンジンで試験データを偽っていたことが分かったのだ。
▼巨大企業グループの信頼を揺るがす異常事態が次々と明らかになっている。いずれも生産に必要な国のルールを破る悪質な行為だ。トヨタはグループ全体の新車販売台数は、4年連続で世界1位となっている。問題解決を各社任せにすることなく、豊田会長を筆頭とするトヨタ経営陣が、グループ全体の改革を主導していくのであろうが、説明会の席ではトップとして、グループ内にはびこる不正をどう撲滅するかへの言及はあまりなかった。
▼実は、“衝撃の巨大自動車企業小説、ついに完結!「99%が真実」という噂で書店から本が消えた!?”というキャッチフレーズにつられ、正月に『トヨトミの野望』と続編『トヨトミの逆襲』、新刊の『トヨトミの世襲』を読み終えたばかりである。このシリーズだが、経済記者が「覆面作家」となって、初めて書くことが出来た「世界一の自動車メーカー」禁断の真実とあり、内部情報や極秘ネタを小説の形にしたノンフィクションではないかと思われる。丁度、読み終わっ時にダイハツの問題が出たのだ。
▼小説は、「トヨトミの製造方法をグループに押し付けても、それは上からの抑圧であり、従業員の人権を踏みにじってしまう。トヨトミと同じ能力等が備わっておれば出来るのだが、備わっていなければ虚偽の不正となる。不正を我慢して続けていた社員の精神的な苦痛は、如何なものであっただろう。その苦痛から逃れるために、或いは不正に我慢できずに内部告発となったのだが、トヨトミの上層部や幹部は、知ろうとはしないし、理解しようとはしない。理解して善処しようとすれば、トヨトミでの自分の地位を喪失する道に繋がるのだから」という内容もある。豊田章男会長自身もグループ各社がトヨタ本社に「ものがいいづらい」問題があると認めていたが、小説の内容によく似ている。
2024/02/03