米国大豆のサステナブルな取組み・・・

小売業のSDGs戦略に関するテーマが話し合われた。その中で、「米国大豆」に関する話題になった。米国の大豆農家は、約90年前からサステナブルな大豆生産に取り組んで来たという。背景には、1930年代に断続的に発生した自然災害への警戒からだという。「ダストボウル」と呼ばれる大規模な砂嵐が発生、広大な農地が破滅的な打撃を受けたのだ。この時の反省から、サステナブルな農業を続けることを目的に「土壌保全局」をスタートさせた。

▼サステナブルな大豆生産を実現するためのカギを握るのが「不耕起栽培」という。砂嵐で壊滅的な被害を受けた背景には、土地を深く耕すなどの農法が土地の保全を乱していたという事実があったという。不耕起栽培とは、農地を耕さずにそのまま種を蒔き、農作物を育てる農法のこと。トラクターなどで耕起作業を行わないので、土地を保護、改善し、健康に保つだけでなく、COの排出を削減するなど環境保全効果があるという。

▼米国の大豆農家の多くは家族経営で、土地や事業(仕事)を親から子、孫へと次世代に次ぐという意識が高かった。そのために不耕起栽培を行い、オフシーズンにはクローバーやオーツ麦を植えて土壌の健康維持、生物多様性を図るとともに、GPSなどの最新技術を取り入れて水の有効利用、エネルギー使用量の削減などの環境に配慮した農法を採用している。2013年からサステナブルな大豆であることの認証制度も導入されている。

▼日本人の食卓に欠かせない大豆だが、日本の自給率は低く、食用大豆のほとんどを輸入に頼っている。そして輸入大豆の約8割が米国からだ。しかも、この米国大豆は、日本の大豆製品向けに改良・開発されたものという。30年以上前から、日本の商社や食品会社と米国の大豆農家や輸出業者の取組で、納豆向け品種、豆腐向け品種とそれぞれの食品に適した品種を作ってきたという。その結果が現在のシェアになっているとの話もあった。

2024/02/04