一般社団法人 全国農業協同組合中央会(JA全中)は、1月の理事会で水田・畑作農業の中長期的な取り組み方を決めた。その中で基幹的農業従事者は2050年までに約100万人減少して36万人となると推計。より多くの担い手の確保とともに、少ない担い手への農地の集積・集約化が一層なるとしている。農地面積は、国交省「国土の長期展望」により推計し、437万ヘクタール(20年)が304万ヘクタールと約3割減少する見通しとある。
▼農地の減少と農業従事者が急減するのであれば、少ない担い手でより多くの農地を活用して、基盤である農地の維持を図る必要がある。そんな中で、コメの需要も年々減少しているので、2030年には現在の需要量から約80万トンも減少する612万トンになってしまうとの試算もある。これは主食用米面積の12%に相当するので、14.7万ヘクタールを主食用以外の作物に転換する必要がある。労働生産性の高い作物への転換が必要となる。
▼何故、これほどまでに農業従事者は減少してしまったのであろうか。古老の農業生産者は、農民を食料生産の道具のようにみなしての政策のように思えると話していた。農民の高齢化が語られ、大規模農業やスマート農業への提案、誘導が図られているが、そうでは無いような気がすると言っていた。高齢化対策よりも後継者対策の方が重大なのだ。後継者のいなくなった農地が広がり、地域の行事や祭りなどの地域社会が崩れることを心配していた。
▼本来、農業は自然とともに働く愉しさ、作物を育てていく愉しさ、自分の技量が高まることを実感する愉しさがあるものだ。だからこそ、農業は面白くて長く続いてきたのだ。ただ、今日ほど苦しい時代は無いのかもしれない。農業の愉しさ、農業に従事する誇り、農業の価値といったものに、これほど敬意を表さない時代はかつてなかったようだ。社会は、他社との協同で成立しているという社会観を再創造しなくては、食品スーパーの明日も難しいかも知れない。
2024/02/05
