セルフレジの普及で万引が多発しているという。食品スーパーやコンビニで導入が広がるセルフレジだが万引き被害が後を絶たないという。人手不足の影響や、新型コロナウイルス対策の一環として普及したものの、支払ったように装う手口による被害が相次いでいる。未精算を防ぐシステムの導入や従業員による声かけなどの対策が取られてはいるが、時代の変化にどう対応しないといけないのか小売業の関係者は頭を悩ますことだ。
▼客側もバーコードをスキャンする動作に不慣れなために悪意なく、うっかり精算ミスをしてしまうケースも。人手不足で従業員の目が届きにくく、業界は対応に苦慮している。セルフレジを国内で初めて設置してから約20年が経つ。有人レジよりも精算待ちの時間短縮を見込めるとして活用が広がった。全国スーパーマーケット協会の23年調査によると、全国のスーパーの約31%が導入しており、過去5年間で3倍近くになった。
▼セルフレジが日本より早く普及した米国も、物価高により万引きが拡大基調となっている。食品スーパーの多くが加盟するFMI(The Food Industry Association)の調査によると、食品スーパー96社の3.8万店のうち96%にセルフレジが導入され、会計処理に占めるセルフレジの割合は2021年に30%に上がっているとある。人手不足問題が解消することもないため、導入台数の増加は今後も進むと予想されている。
▼米国の調査会社によるとセルフレジを使った万引は通常のフルサービスレジの16倍以上にも及ぶとあった。日本でも、ほぼ全店舗にセルフレジを導入しているトライアルカンパニーでは、昨年5月に判明した万引被害のうち8割超がセルフレジで発生したものだったという。人手不足が深刻化するなか、セルフレジは小売店がサービスを維持していくうえで万引きの問題を抱えつつも不可欠なツールになるだろうから、対応の仕方が急がれそうだ。
2024/02/06