「2024年問題」の影響での値上げも・・・

帝国データバンクは、今月以降の食品の値上動向や見通しについての分析を発表した。 主要食品メーカー195社の家庭用を中心とした2月の飲食料品値上げは1626品目、平均値上げ率は14%だった。単月での値上げ品目数が1000を上回るのは昨年10月以来4カ月ぶりになるが、昨年2月の5639品目と比較すると7割減となっている。主なものは、「加工食品」が643品目、「調味料」545品目、「酒類・飲料」166品目となっている。

▼今年通年では5月迄の累計で4556品目の値上げが判明、平均の値上率は17%とある。年間では、1万~1万5000品目前後、月平均で1000~2000品目前後の緩やかな値上げペースが続く見通しだ。要因は、「原材料高」(84.6%:品目数ベース)と前年同期の98.9%を下回り、「エネルギー」(70.4%)でこの割合も低下した。反対に、「円安」(39.9%)、「人件費」(18.1%)は前年同期から倍近く増えており、値上げの背景が変わりつつある。

▼今後は、昨年末に為替が円高基調で推移したことで将来的な輸入コスト低下が期待できる一方、短期的には「2024年問題」の影響で物流費が大幅に上昇、3~4月にかけて局所的な値上げが加速する見込みで、特に4月は、既に値上げ品目数が2000に迫っている。「24年問題」とは周知の通り、4月1日からトラック運転手の労働時間が短縮されることで輸送能力が足りなくなる問題だが、すでに影響があるという事だ。

▼何も対策を講じなければ、2024年度はトラック輸送能力が産業界全体で14.2%不足する――。これは、日本通運(株)の子会社のシンクタンクNX総合研究所が「2024年問題」のリスクを22年10月に試算したものだが、特に深刻なのが食品で、加工食品は9.4%、加工食品や惣菜、外食の原材料としても不可欠の生鮮食品は32.5%も不足すると試算されている。3割は運べない状況が生じるとなると、商品価格へ転嫁も必然なのかも知れない。

2024/02/09