コンビニエンスストアのローソンの経営体制が大きく変わりそうだ。KDDIが株式公開買い付け(TOB)で株式を50%まで取得し、三菱商事と対等の出資比率として共同経営にあたるとの報道があった。TOBは4月にも実施する予定とある。価格は5日の終値の8721円を約20%上回る1万360円で、総額で4965億円を見込む。このTOBが成立すれば、ローソンは両社の持ち分法適用会社となり、上場廃止となる。
▼ローソンは、大きな資本構成の変化が2度あった。そのたびにデジタルを生かし、未来のコンビニへと進化すると構想を発表してきたので、今回のKDDI高橋誠社長の「ローソンを通信、DXを活用し、銀行や保険などの窓口として金融資産形成の相談ができるようにする」との発言だが、これ迄の2回と内容は同じだ。ダイエー、三菱商事、KDDIと資本構成が大きく変化したのだが、技術面での改革が先行するだけで実現に至らないのだろう。
▼ローソンの24年2月期の連結純利益は前期比68%増の500億円と過去最高益の見通しだ。ただ、セブンーイレブンとの差は縮まらない。日本最大の総合商社である三菱商事の国内外の様々な経営資源と人材を有する企業ですら決め手を欠くのであろうか。三菱商事の中西勝也社長は「商事だけではローソンの企業価値をあげるには限界がある」とこのKDDIがTOBに踏み切るとの記者発表の席で話している。
▼コンビニのDX活用といえば、数年前にもてはやされた無人コンビニを想像するが、現時点は先行した米国でも中国でも失敗に終わっている。日本のコンビニでもセルフレジはあるが、混雑時などの利用は、使いづらくストレスを覚えてしまう。デジタルであれば課題が解決できるわけではない。デジタルの特性を活かし、人との役割分担をした最適なサービスを模索し、もっと便利になるシステムを構築して欲しい。「三度目の正直」に期待したい。
2024/02/16