ネットスーパーの肝は、バスケット単価アップ・・・

コロナ禍で食品ECのユーザー層は広がったものの、食品のEC比率は売上高ベースで4%程度だ。「バスケット単価が低いか、購買頻度、継続利用期間が短いか」が要因になるのだろうが、とくに購買頻度と継続利用期間が課題になる。食品宅配事業の責任者をしていた時期があった。20年以上も前のことになるが、受注から出荷までの生産性を高めることは筋道が見えていたが、顧客の維持には苦労した。新規顧客を確保できなかったのだ。

▼安定的な売上を確保するには、月間の利用頻度をいかに高め、どれだけ定着して使い続けて貰えるかがポイントになる。ゆえにイオン傘下のイオンネクストが運営するオンラインマーケット「Green Beans」の動きがとても気になる。巨額の投資によるネットスーパーの展開は大きな話題となっていたし、その成否に注目が集まる。本格始動してから約7カ月が経過したが、業界マスコミも動向に関しての報道は少ない。

▼最先端のAIやロボティクス技術を導入した「誉田フルフィルメントセンター」を物流の拠点とするセンター出荷型のサービスになるが、稼働開始から半年が経過し、サービス提供エリアは東京都11区、千葉県8市、神奈川県1市に拡大。サービス開始後、会員数は順調に増えており、登録会員数は半年も経たずに早くも10万人を超えていると『ダイヤモンド・チェーンストア誌』(2月14日号)が伝えている。計画どおり順調に進んでいるようだ。

▼バスケット単価をどう上げていくか、Green Beansでは、LTV(顧客生涯価値)の最大化と表現している。ユーザーのリピート率が上がれば、さまざまな商品を購入する顧客体験が積み重ねられ、ブランドへの愛着が湧き、バスケット単価も次第に上がっていく。さらに非食品も含めて幅広いカテゴリーで買われるようになれば、さまざまな荒利ミックスも実現できるようになるという道筋だ。バスケット単価を配送コストとの関係で上手くコントロールできないといくら売っても利益が出ない事業なのだ。「Green Beans」の成功報道が待たれる。

2024/02/23