矢野博丈さんが2月12日、東広島市のご自宅で亡くなった。謹んで哀悼の意を表したい。急に胸が苦しくなって、そのままご逝去されたこと。心不全で80歳であった。矢野博丈さんは、100円ショップ「ダイソー」の創業者として知られているだけではなく、多くの人々に、インスピレーションを与えた起業家であった。名言や格言の数々が有名だが、人生にも役立つ価値ある教訓を提供している。
▼コーネル大学RMPジャパンの講義のなかでも、流通科学大学の崔 相鐵教授に「小売業態パイオニアの原体験とビジネスモデル」のタイトルで、大創産業を取り上げたことがある。100円ショップ誕生は、かかる手間をどのようにして省いたら良いかを追求した結果という。ヤオコーの新店プロジェクトの時も、「もう安さや質では売れん時代になってきた。これからはどうなるかわからんです」という言葉に励まされた。
▼幾つかの言葉を列挙したい
- 「環境が変われば最適な方法も変わる。それは仕方がないことだ。しかし、環境変化に関係なく役立つものがある。それは努力だと私は考える。自分の役に立つかどうかわからん他人のノウハウを吸収するより、自分で努力する力を磨いた方がよほどいい」
- 「好調なときに、『いつかはダメになる、こんなことが長く続くわけがない』と恐れおののく力が会社の力だと思う」
- 「私の欠点は数えきれません」、「わし自身、何もないんですよ、中身が」
- 「経営計画、戦略、そんなもんないです」
- 「ダイソーなんて底の浅い商品ですから、やがて潰れるに決まってると確信を持っていました」
- 「やってきたことがいいか悪いかは、ダイソーが潰れる時にならんとわかりません」
- 「人間は、先を見通す能力なんてないんです」
- 「生きるということは、基本的に楽しいことではありません」
- 「良いことはもう起こらないかもしれないけれども、生きることに感謝するしかない」
- 「お客様にはすぐ飽きられるものです。ずーっとずーっと恐くて、眠れなかったんですよ」
- 「新しい店舗は社員たちが決めて作り上げました」
- 「人間、誰だって悩みを抱えている。でも悩んでいるからといって、暗い顔をしていたら悩みはますます大きくなるだけ。つらいときほど笑い飛ばして、元気を出したほうがいい」
- 「『しまった』と思い続ける、自己否定の積み重ねが大切です。環境が変わったのだから、自分を変えるしか生き残る方法はありません。そして、昨日までのあり方、考え方を否定するしかありません」
▼矢野博丈さんの言葉は、人間学やビジネスにおいて重要な教訓を提供している。自身の経験や哲学から得た教訓を示しているからだろう。これらの言葉には、努力や謙虚さ、柔軟性、そして常に前向きな姿勢が含まれている。謹んで哀悼の意を表します(合掌)
2024/02/25