全米小売業協会(NRF)が毎年1月に開催している「ビッグショー」がある。展示ブースに出品する企業数が1000社を超えるという小売業界最大規模のイベントになる。この「ビッグショー」の見学レポートなどを読むと、米国小売業界全体の関心事は何か、小売業者は何を求めているのか、どの方向に向かおうとしているのかの大きなトレンドを把握するのに大きなヒントがある。NRFは、業界横断的な団体なのでマクロで見るのに適している。
▼米国の小売業界では、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が使われる機会は激減しているようだ。変容する時期は既に終わり、DXは、当たり前となっているからだ。日本の小売業との温度差さえ感じる。10年近く前は、ブランドメーカーの新商品や店内什器などの展示が中心だったが、テクノロジー関連の展示会のようだという。経営者や専門家によるスピーチも、デジタル系の話題がない内容は皆無に近いらしい。
▼特にここ数年は、レジや決済の変革に関する見学レポートが多い。決済の無人化、レジそのものを無くす技術や無線自動識別(RFID)技術の普及などに関するモノになる。読むと商品に印刷されているバーコードはなくなる方向へ向かっているようだ。代替技術のひとつがRFID、そして、コンピュータービジョンとAIによる商品形状の認識技術のようだ。商品を認識する技術のいずれかまたは双方を使用することで、商品を置くだけで決済は修了することになる。店頭で目に見えて変化が進む分野になっているようだ。
▼スマートカートやモバイルレジも一気に多様化し、各小売企業は戦略的に選択する時代になっている。決済はできるだけ短く、できればなくなる方向へと進むのは自明のようだ。一方、セルフレジの普及が、万引きを増加させていることに対して、各レジの頭上にカメラを設置、お客の動きをAIで解析して、万引き者を特定する技術も開発されているとある。これらの技術が、汎用的に提供され始めているとある。目的は、決済というお客と店員のストレス軽減にあるのだが、さてどう対応したらよいのだろうか。
2024/03/24
