イトーヨーカ堂が衣料品からの撤退を発表した。総合スーパー(GMS)に就職、衣料品担当としてスタートを切った者として、GMSの衣料品復活シナリオは気になるところだ。GMSの「衣料品改革」の議論を見ておきたい。「イオンリテール」は、船橋店でオリジナルブランドの全面展開を試みている。「イズミ」は「アダストリア」と組んで刷新を図り、「平和堂」もアルプラザの増床刷新で衣料品改革を進めている。
▼GMSの衣料品は、日本経済の失われた30年とともに凋落が続く。日本チェーンストア協会が集計する「チェーンストア販売統計」によると、売上の総額は1992年から2023年で▲11.6%と萎縮する中で、衣料品は▲81.1%と激減しているのだ。売上シェアも25.6%から5.5%に激減するという凋落の一途をたどってきたことになる。戦略面の影響に加え、「ユニクロ」や「しまむら」などに奪われた売上げが大部分のような状況だ。
▼商圏をどのように設定するかでマーケティングも売場編成も変わってくる。商圏設定の違いが、同一品を大量継続販売にするのか、バラエティを訴えて少量を売り切っていくのかになる。より多数の顧客を必要とするビジネスで買い回り性の広域立地を志向するか、近隣生活圏の最寄りニーズに応えるビジネスにするかとの違いになる。GMSであっても生活圏立地や近隣立地で、ロワーポピュラープライス以下で客数増を望むのがポイントになると思うがどうだろう。
▼インフレ下で実質所得が減少するなか、米国でも日本でも衣料消費のダウンサイジングが進んでいる。百貨店のブランド商品は値上げで手が届きにくくなった、モール内やターミナルに出店のアパレルチェーン割高になり、ユニクロも庶民価格とは言えなくなった。低価格帯のチェーンや中国系越境ECに衣料消費が流れているなか、GMS量販チェーンストアの衣料品にも復活のチャンスが到来しているのではないかと思う。
2024/04/02