日本のコングロマリットチェーン2社の24年2月期の決算発表があった。何かと話題の多い(株)セブン&アイ・ホールディングス(HD)は、営業収益は前年3%減の11兆4717億円、営業利益は同5%増の5342億円だった。主力のコンビニエンスストア事業は国内でインバウンドなど来店客が増え、海外ではオリジナル商品の開発を強化し採算が上向いた。加えて円安も追い風となったようだ。来期の見通しを純利益2930億円(30%増)と、2年ぶりに最高益となるとの発表であった。
▼一方、イオン(株)の連結決算は、営業収益が5%増の9兆5535億円、営業利益が同20%増の2508億円と4年ぶりに最高益だった。純利益も2.1倍の446億円となった。都市部の食品スーパーや総合スーパーが好調であり、値ごろ感のあるPB商品で消費者を取り込み、店舗の売り上げ増加につなげた。在庫や物流網の効率化などにも取り組んだ。来期は連結営業収益が10兆円と見込んでおり、国内小売業としてはセブン&アイ・ホールディングスに次いで大台に到達する。
▼決算発表時に、セブン&アイ・HDは、イトーヨーカ堂などのスーパー事業の株式について新規株式公開の検討に入るとの発表もした。コンビニエンスストア事業と連携しながら抜本的な改革を進める方針だが、その上で首都圏の食品スーパー事業の26年2月期の黒字転換など再建が見通せる状況に入った場合、早いタイミングで一部株式を売却し、スーパーの成長に向けて外部企業との連携模索を検討していく方針ということだ。
▼一時は売上高1兆円超えを達成し、首都圏を起点に店舗数は182店まで増えていた。ヨーカ堂の動きは日本の総合小売業そのものが大きな転換点を迎えていることなのだろう。創業者の伊藤雅俊氏は、「自分たちの枠に留まることなく視野を広く持たなければならない」旨の話を良くしていたが、やはり構造改革が遅れたのだろう。セブン&アイ・HDにとって、食分野での連携は続けるものの、ヨーカ堂は非中核事業になったということだ。予定通り再建が進んだ時、どんな企業が株式を引き受ける事になるのだろうか。
2024/04/13