メーカーが持続的に競争力を持ち続けるには・・・

消費者は、物価高が家計を直撃しているとの認識を強め、価格の安い商品を求め始めているようだ。食品スーパーの売場では、割安感のあるPB商品の売り上げが増えるとともに、NB商品の価格上昇が続いている。NBの価格が上がるほど、より多くの消費者が低価格のPBに移っているように見える。興味深い現象が起きているのだが、メーカーや小売業者にとっては、人件費などの費用が増加しているので値段を上げざるをえない。

▼こうした現象は継続的であり、PB商品のウエートが大きくなるのか、結果としてNB商品の地位は揺るがないのだろうか。PB商品がどれだけのシェアを占めるのかは、商品そのものの価値と寡占構造にもよるのであろう。アパレル業界においては、並んでいる商品は全てPB商品になって来ている。寡占構造が進んでいるからだが、食品スーパーのPB商品のシェアは増えてはいるが、NB商品のシェアが高い。

▼大手のイオンやセブン&アイグループは、積極的に増やしているしダブルチョップ商品も増えている。低価格志向が強まれば、食品のPB化はますます進んでいくのだろう。NB商品を作る食品メーカーにとっても、PBへの取り組みは悩ましい。価格主導権を取られるが、PBは生産量の確保につながるからだ。結果的にはメーカーシェアが拡大することにもなる。シェア拡大は、生産コストの上でも有利になる。メーカーは生産に特化しブランディングは小売業に任せるという分業関係を構築する選択もあるはずだ。

▼ただ、食品メーカーが長期持続的な競争力を維持するためには、価格決定権を維持しブランド価値を高めていかなくてはならない。NBの価値は他社をしのぐ高品質の維持と新製品の開発であり、PBでは難しい課題のひとつである。デュアルブランド戦略を否定するものではないが、NBとしてのポジションが維持できなければ、食品メーカーが長期持続的に競争力を持ち続けることはありえない。インフレでPBへの関心が高まる中で、NBの価値を高めることが問われているはずだ。

2024/04/21