埼玉の山裾の町で生まれ、育ったので、ある年齢になるまで「農村」という言葉は、アクセスが不便で通信環境も劣る、生活条件が悪い場所とのイメージが浮かべる。友人たちも面白半分に、都市との比較で「遅れている」場所と表現していた。その町が最近は、個性的な景観や農林水産物にひかれ、テレワークや新しいビジネスの可能性を見いだす人の移住が進みだした。この前もNHKのTV番組で特集が組まれていた。
▼人々の「農村観」にはバリエーションがある。「課題地域」と思っていたが、意識も変化し「価値地域」と評価する人が増えているのだ。欧州では早くからこの感覚が生まれ、「価値地域」では、「地域化」と「個性化」が進められてきたようだ。地域個性の醸成が促されて来たのだ。都市化の推進は、どうしても「画一化」が伴い、「均衡ある発展」とはその典型のように思える。難しいのは「画一化」とともに「個性化」も求められることだ。
▼農業に従事し、年齢を重ねた同級生から作物栽培の品種を変えざるを得ないとの相談を受けた。サトイモやダイコンなどが敬遠され気味という。確かに、野菜の人気のトレンドは食の嗜好の変化が影響している。ブロッコリーの人気はそんな背景がありそうだ。支持が下がっている品目は、消費や生産の両面で「手間」の大きさが指摘できそうだ。相談を受けたサトイモやダイコンに加えゴボウ、カボチャ、ホウレンソウは減少が大きいようだ。
▼「家計調査」(総務省)の平均購入数量、農林水産省の野菜生産出荷統計の栽培面積を参考にし、2012年と22年を比較すると、世帯あたり(2人以上)の生鮮野菜の平均購入数量は、22年は12年比7%減少している。野菜全体の栽培面積も11%減っている。例えばサトイモは、購入数量は10年で38%減、栽培面積も25%減であった。サトイモは煮物など煮炊きするもので、手間がかかる。手間のかかる野菜は需要が減り、農家の生産抑制を促している可能性がある。食品スーパーとして、手間のかからない使い方など「新たな調理法や食べ方提案」が大切なことを痛感した。
2024/05/29
